分析

 その次に、記録した事実について、分析していきます。分析しリフレイミングを行うのは、知的・合理的な解決方法です。「心の問題を知的に解決するのは無理がある」と考える人もいるようですが、知的に解決できてしまうものや知的な解決が解決方法の主要部分を占める問題もかなり割合で存在すると思います。

 全部が全部これでうまくいくわけではないのですが、「ばかにはできない」というか、大切な方法の一つです。

 レコーディングで書いた例を続けます。


 第4段階 記録した事実の分析を書く(その1)。

 例:昨日の10時ごろ、スナック「おしゃれ猫」で、自分がデンモクで入れたAKBの「会いたかった」という歌を、酔山酔太郎さんが、勝手に歌い出した。

 それに対して、私は、イライラしていた。

              …(中略)…

 私のイライラしている様子を見て、アルバイトの女の子は少し気を使っている様子だった。

 酔山さんは、なぜ、あそこで他人が入れた歌を歌い出したのだろうか。

 AKBの歌が好きだという理由だけなのだろうか。

 そういえば、以前酔山さんとは、理由は忘れたが口ゲンカになったことがある。酔山さんは、私のことを意識して、私が入れた歌だから、勝手に歌い出したのだろうか。

 ところで、他の人が入れた歌でも同様のことがあったかと言えば、何回か見たことがある。また、酔山さんは、自分以外の人ともよく口げんかをしている。

 だから、必ずしも、「私の入れた歌だから」というわけでもなさそうだ。 


 今回は、酔山さんの行動の理由を分析しました。

 こんなことまで書き込むのは、本当にたまにやればいいと思います。レコーディングの第1段階だけ書いて、それ以外のことは、電車の中で一人で考えるとか、友達に話を聞いてもらう、などでもいいと思います。   

 でも、できたら、相手の考え・気持ちについて、なるべく相手の立場に立って考えるてみると、人間関係について見通しがよくなります。そうすると、「まあ、相手の立場からすれば無理ないことなんだな」ということが見えてくる場合があります。そのように、相手の気持ちが理解できると、たいてい自分の怒りも静まっていきます。

 次に自分自身の考え方について分析します。  

 基礎知識のところにある、自分が直面した現実と一致していないコアビリーフ(「~べき」思考)を見つけることが大切です。

 その時の抱いていた「~べき」という思考を探して書きました。


 第5段階 記録した事実の分析を書く(その2)

 例:昨日の10時ごろ、スナック「おしゃれ猫」で、自分がデンモクで入れたAKBの「会いたかった」という歌を、酔山酔太郎さんが、勝手に歌い出した。

                            …(中略)…

 自分がイライラしたのは、「カラオケは曲を入れた人が歌うべきである」という思考があったからであろう。   


 コアビリーフ(「~べき」思考)が見つかりました。「カラオケは曲を入れた人が歌うべきだ」というのがそれです。

 そして、期待していたことは、「自分一人で熱唱し、自分一人だけがみんなの拍手を浴びる」ということです。要するに、自分はスターになりたかったんだけど、それが勝手に歌うやつに阻まれたからイライラしていたんだな。ということに気がつきます。

 こういったことを見つけることがポイントです。

 見つけるだけで、「なんだ、大したことじゃないじゃないか」「そんなに怒るようなことじゃないな」「実にくだらない理由で怒っていたんだなあ」と気がつくことも多々あります。

 コアビリーフ(「~べき」思考)や自分の期待していたことを見つけるだけで直ちに、「そんなに怒ることじゃないなあ」とは思えない場合、次の段階に進みます。  

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