脳のどこで怒っているのか?

 怒りや悲しみを感じている時は情動の中枢である扁桃体という部分と前頭前野の中の内側前頭前皮質という部分が活発に活動しています。    

 扁桃体(もちろん扁桃腺ではない)は、脳の深い部位に含まれるアーモンドのような形をした器官で、危機管理に関係のあるさまざまな機能を果たしています。怒り・恐怖に代表される良からぬ情動の中枢で、心的外傷の記憶などもここに入っています。また、人の表情を読み取ろうとする場合や人の嘘を見破ろうとする時にも活発に活動します。危険に対する警報装置で、生き延びていく上で必要な行動を生み出すための器官です。国(日本)に例えれば、外務省及び防衛省といったところです。 

 内側前頭前皮質は読んで字のごとく前頭前皮質の内側にあります。前頭前皮質は前頭前野という前頭葉の前側の領域の表面の皮質部分です。日本の国で言うと、前頭前野を政府と考えれば、内側前頭前皮質は官邸とか総理大臣にあたります。

 外側前頭前皮質というのもあり、こちらは行動計画の立案や情報の分析的処理を担当していて、国で言えば、政権政党の政務調査会とか官僚機構などにあたるでしょう。

 扁桃体と内側前頭前皮質はネットワークで結ばれていて、内側前頭前皮質は、扁桃体で生じる情動を認知し、それをコントロールしています。このコントロールがうまくいかなくなると激しい怒りの暴発が起きます。これを国に例えれば、軍部の暴走を大統領とか総理大臣などがコントロールできなくなった状態、ということになります。

 「前頭前野の内側前頭前皮質による扁桃体のコントロール」が、脳機能面から見て「怒りのコントロール」の時に行われていることです。そして、うまくこのコントロールができなくなった時、キレておかしな行動をとったりすることになります。これは、国に例えると軍がクーデターを起こしたり勝手に暴走したりして、政府がコントロールできなくなった状態です。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る