1-5
今回ばっかりは、もう限界。
毎度のことで、赦してくれって言うけどさ、祐介。
いったい、あと何回、わたしはこんな気分を味わう羽目になるの?
裏切りという感覚が希薄なんだもんね。あんたは。
ロクな死に方しないよ。
ううん。幸せになんて、なるな。
長いトンネルを抜けたと思ったら、またすぐにトンネル。
窓の外にはオレンジの蛍光灯がラインのように続いていく。耳鳴りがして不快になる。いったい何処を走っているのかも、ゴールまでどのくらいかも解からない。
誰かが恋の歌をうたう。
無性に腹が立つ。
いろんな事がいっぱいいっぱいで。
溺れてしまいそうだ。
「紗江、パーキングだよ。ちょっと外の空気吸ったほうがいいってさ、」
いつの間にか眠ってしまっていた。
ふと目を開けると、敬子と並んでこっちを覗き込むイケメンと視線がぶつかった。
え? なんでしょうか?
「美作さん、だったか。大丈夫か? 座りっぱなしよりも、外で身体を伸ばしてきた方がいいぞ。」
どうやらトイレ休憩でパーキングに停車したようだった。
車内には他の人たちは居なくなっていた。わたしが最後という事みたいだった。
「大丈夫? 紗江?」
「ごめん、敬子。心配かけちゃった? ちょっと寝たらマシになったから。」
心底心配そうな顔の敬子に無理やりで笑顔を作ってみせたけど、引き攣ってると思う。
やだ、寝顔見られた、イケメンに。
くち開けて、ヨダレ垂らしてたりしなかったかな。
うわぁ、ハズカシイ。
早く出よう、と身支度をする素振りで二人に訴えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます