ファンタジー世界における銃という存在

 今回は私が創作作品でちょっと気になった点とそれについての個人的な意見です。創作者さん向けの内容となりますので、ご注意ください。


 ふと最近、ちらっと幾つか銃が登場するファンタジー作品に「ファンタジー作品なのに銃が出てきて混乱した」というような内容の感想が見受けられました。

 もちろんそれは感想を書いた人が悪いというわけではなく、どちらかと言えば「現代兵器」としてのイメージが強いのが銃ですから、そういった印象を抱かれても不思議はないと思います。

 

 では、ファンタジーの世界に銃を出してしまうと読者を混乱させてしまい異世界という世界観が崩れてしまうのでしょうか?それについては私は、必ずしもそうではないと思っています。

 この世界には銃があるんだぞと、そういう設定を読者が納得する形で描写できれば、読む人も銃の存在を受け入れてくれるはずです。

 要はこの物語、この世界には銃という道具が存在するんだ、ということを作品内で読者に伝える事が重要なのだと思います。


 ハイファンタジー作品と言われれば、剣と魔法が活躍する世界をどうしてもイメージしてしまいます。有名所では指輪物語などでしょうか、そういう傾向の本を読めば読むほど最初に抱く印象が偏ってしまいがちですよね。

 なのでまずやるべきことは、そのイメージが完全に確立される前に銃という存在を紛れ込ませる、ということではないでしょうか。

 これまで剣と魔法しかなかった話にいきなり銃が出てきた。あるはずのないと思っていたものが突然現れたら読者は当然混乱してしまいます。そうならないための下地づくりです。

 例えば冒頭に銃を持った人を登場させたり、銃の存在をほのめかす描写を加えたり、ちょっと無理矢理な感じもありますがあらすじに説明を書いたり、そういう感じのですね。

 

 ただそれだけでは、そうまでしてあえて銃をファンタジー世界に組み込ませる理由あるの?と疑問に思う方もいるでしょう。ですので魔物の脅威に対して開発されたとか、そういう存在を肯定できるだけの設定も必要になってくるわけです。

 それともう一つ重要なのは、銃が製鉄や火薬など様々な分野の高度な技術が詰まった道具であるという点をちゃんと理解しておくことです。製造できるだけの設備や技術の発達した世界でなければ、なんでこの程度の文明レベルで銃が作れるんだ、ということになってしまいますから。

 ただしこのような銃の設定とかは追々話が進む内に解説を挟めば済むことですから、初めにしておいた方が良いのはとにかく銃がある世界だということを伝えることですね。これはとても重要だと思います。もちろん設定的にどうしてもそれは出来ないという作品もあるでしょうから、必ずしろというものでもないのですが。

 あと、さも当然のように銃があるように描写する時は、そこがファンタジー世界であることを示すキーワード等を文章に組み込んだ方が良いかもしれません。架空の国や都市の名前とか、世界観の説明、騎士やらがいるとかそういうのです。銃は一応現代の武器ですし、場所の説明がないと現代ファンタジーと誤解される可能性も無いとは限りませんから。


 もう一つ、◯◯世紀の時代をモデルにした異世界なのに、銃その他諸々数世紀後の技術が混在してるの変じゃないのかな?と不安に思っている方に読んでいただければもしかしたら参考になるかもしれないお話を。

 まず前提として異世界のお話であるならば、そこは異世界です。我々の住む世界とは別の世界のお話です。私達の世界のどこかの時代がモデルになっていようと別の世界の話なんです。つまりこちらの世界で起こっていることが異世界でも同様に起こっているとは限らないのです。

 私達の世界に魔物はいませんが、異世界には存在して人々を襲っているかもしれません。私達の世界には剣という武器がありますが、争いが起きない異世界があればそこに剣はないかもしれません。

 例えば某大人気狩猟ゲームでは狩ったモンスターの素材を使った武器や防具が存在し、素材を加工する技術を持ちそれを職とする人々がいます。ですが現実にはサマーソルトかましてくる竜も物盗んでく猫もいませんから、あのゲームに出てくる武器も職業もないわけです。コスプレは別として。

 別世界には別世界の文化があるはずです。こちらの世界と同じように発展するものもあれば、全く異なる形で進化していくものもあるでしょう。

 世界を構築するのは創作者さんの自由です。せっかくの創作なのですから、型や枠組みに囚われすぎずに取り組んでみることも大事だと思いますよ。

 

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