銃の部品
今回は銃の各部品の名称と役割の簡単な説明です。
あまり細かい部品や機構についての解説は今回は致しません。
銃の種類別でいくつかまとめていきます。
※重複している部品の解説はしません。
『ライフル編』
ハンドガード (被筒または先台)
グリップを握っていない方の手で銃を保持する時に持つ場所です。
銃身を覆い、発砲による銃身の過熱から手を守る為についています。
木製や金属製の物など様々なタイプがあり、また最近ではピカティニー規格のレールを装備したものもあり、アクセサリを装着可能な拡張性に優れた物も存在します。
バレル (銃身)
発火された弾が通る道です。現在のライフルのほとんどはライフリング (旋条)と呼ばれる螺旋状の溝があり、これによって弾に回転を加えまっすぐ飛ぶようにすることが出来ます。
また、銃口にはフラッシュハイダー (消炎器)やマズルブレーキなどを装着したものや、サプレッサーを装備可能にする加工を施された銃もあります。
マガジン (弾倉)
弾薬を装填しておく部品です。
マガジンフォロワー (送り板)をマガジン底部のばねが押し上げる構造になっており、装填された弾を上に押し上げますが、この際ばねが弱くなっていると弾が上がり切らずに装填不良の原因になったりします。
また、アサルトライフルの多くは着脱式の箱型弾倉ですが、リボルバーのような固定式の弾倉を備えるものや、ベルト給弾式のマシンガンのような、つながった弾薬を入れておくただの箱のようなタイプなど様々です。
マガジンリリースボタン (またはレバー)
弾倉を交換する際に、このボタンを押して弾倉を取り出します。
ボタン式の物やレバー式のものなど銃によって操作法は異なりますが、多くの銃は弾倉交換時に操作しやすい位置に設置されている場合が多いです。
グリップ (銃把または握把)
引き金を引く方の手で握る部分です。
よく狙撃銃などに見られる、握る場所が単にくぼんでいるだけのものをグリップ、拳銃のグリップのような形状で、ストックとは独立して握れるようになっているものをピストルグリップと呼びます。
トリガー (引き金)
ここを引くことで、銃内部の機構が動き、装填された弾を発射します。
基本的にレバー式のものが多いですが、重機関銃などボタン式のものもあります。
トリガーガード (用心金)
引き金の周りを覆っている部品です。
トリガーを不意に引っかけ暴発、などの事故を防ぐ役割があります。
エジェクションポート (排莢口)
弾を撃ちだした後の空薬莢を排出する部分です。
銃によっては設置位置や、排莢口を左右に切り替えられるなど特殊な機能を備えたものもあります。
ストック (銃床)
肩に当て、射撃時のブレや反動を押さえる役割がある部品です。
材質は、木製からプラスチック、合金など様々。
また、いくつかの種類があります。
『ストレートストック』
銃身からストックの肩に当てる部分までが一直線になっている形状のストックの総称です。
直銃床とも呼ばれ、現在の軍用銃の多くがこちらのタイプになっています。
反対に、曲銃床と呼ばれるものがあり、こちらはストックが銃身よりも下に下がっているタイプですが、旧式の銃以外では少なくなってきています。
『フィクスドストック (固定ストック)』
これはストックが銃本体に固定され、動かすことが出来ないストックです。
『テレスコピックストック (伸縮ストック)』
スライドストック、リトラクタブルストックとも呼ばれます。
ストックの長さを調節でき、使用者の体格に合わせて調節が可能な上、ボディーアーマーを着た状態などでも長さを調節できるので最近の銃に多く見られます。
『フォールディングストック (折り畳みストック)』
取り回しがしやすいように、折りたたむことが出来るストックです。
伸縮式ストックよりも全長を短くできますが、当然畳んでいる間はストックを使うことはできないので、戦闘よりも運搬に向いた設計です。
『スケルトンストック』
ストックをパイプのみの組み合わせや、穴をあけ肉抜き加工をした最低限の骨組みで作られたストックの総称です。
折り畳み機能を備えたものや、固定式のものまで様々なタイプがあります。
『サムホールストック』
ストレートストックにピストルグリップを合わせたような形状のストックで、ピストルグリップを握るように親指を通す穴があけられています。
イギリスのL96A1などがそうですね。
チャンバー (薬室)
銃身の後部、機関部内で発射される弾が収まる場所の事です。
ライフルやオートマチックの拳銃は基本的に1つですが、リボルバーの場合はシリンダーが弾倉兼薬室の役割を果たすので、多くの薬室を持つ、多薬室の銃となります。
ボルト (遊底)
弾を発射する際、薬室後部をブロックする役割を持つ部品です。
また、オートマチックの銃ではこの部位が発射時に後退し、薬莢を排出しながらスプリングの力で前進し、弾倉から新しい弾を引き出しチャンバーに押し込みます。
ただオートマチック拳銃の場合はスライドと一体化しているためにスライドを遊底と表記する場合もあります。
ハンマー (撃鉄)
外部に露出しているものや、内部に搭載されているものなど様々です。
トリガーを引くと連動して起きていたハンマーが落ち、撃針を叩いてその撃針が弾を発火させるという流れになっています。
また、リボルバーなどは撃針が組み込まれたハンマーもあります。
ファイヤリングピン (撃針)
先端が丸い針のような形状になっており、ハンマーが撃針底部を叩くことで、撃針が動き薬室に装填された弾の底を打ち発火させることで弾を発射します。
エキストラクター
ボルトが後退した際に、発射済みの薬莢を薬室から引き出す役割を持った部品。
大体はボルトと一体化しています。
エジェクター
エキストラクターによって引き出された薬莢を外にはじき出すための部品です。
一部ない銃もありますが、オートマックの銃の大半はこれがついてます。
また、横にシリンダーを振り出すタイプのリボルバーはシリンダーにロッド状の物が付いていて、それがエキストラクター兼エジェクターとなり、エキストラクターロッドと表記されます。
コッキングレバー (またはハンドル)
銃内部のボルトを後退させて、ハンマーをコッキングし弾倉の弾を薬室に送り込む際に引く部品です。
不発弾や銃のジャミング (動作不良)の際に、装填された弾を強制的に排出する場合もこの部分を使います。
ボルトアクションライフルでは、ボルトハンドルがこの部分に相当します。
また、弾倉の弾を最後まで撃ち尽くしボルトが後方で固定された際に、弾倉交換をし、コッキングレバーを引かずに押すだけでボルトが前進し弾が送り込まれるボルトリリースレバーというものがついている銃もあります。拳銃のスライドストップ(後述)をイメージしていただけると分かりやすいかと思われます。
セーフティ (安全装置)
レバー式のものやボタン式のものなど銃によって形状は様々です。
また、連射機能の切り替えも兼ねたものはセレクターレバーとも呼ばれます。
安全装置はどこにロックをかけるかなどで数種類に分けられますが、それはまた別の項目で解説いたします。
フロントサイト (照星)
銃前方に備え付けられた照準器の事です。
これも数種ありますが、詳しいことはリアサイトと共に別で項目を設けます。
リアサイト (照門)
銃後方に付けられた照準器です。
M16系などは持ち運ぶときに掴む取っ手 (キャリングハンドル)と一体化しています。
レシーバー
銃の一番重要な部品、ボルトやハンマーなどが詰まった機関部です。
上下に分割できるものは、上の部分をアッパーレシーバー、下部分をロアレシーバーと呼称することが多いです。
『ショットガン編』
フォアエンド
ライフルで言った先台、ハンドガードの部分に相当します。
ショットガンではこちらを用いる方が一般的だと思われます。
これを前後にスライドさせて装填と排莢を行うのがポンプアクション方式、その他ガス圧や反動を利用したオートマチックのショットガンもあります。
マガジン
ショットガンのマガジンは特殊で、銃身の下にもう一本伸びた筒状のものがマガジンになっており、名前もチューブマガジンと別の呼び方になっています。 (中には箱型弾倉やドラムマガジンの物もあります)
レシーバー下部から弾を入れ、それらはこのチューブマガジンに入っていきます。市販パーツで延長し装弾数を増やしたり、逆に短くすることも可能です。
ボルトリリースレバー
実際に使用する場面を目にする機会はあまりありませんが、ポンプアクション式のものやオートマチックのショットガンにはついているものもあります。
バレルジャケット
ショットガンに限った部品ではないのですが、ライフリングを必要としない分肉薄にされた銃身に、装薬量の多い弾を使用するショットガンで多く見られるものです。
これは銃身の過熱から手を保護するために銃身を覆うように付けられたカバーの総称で、プレートのようなものからサプレッサーの様にバレル全体を覆うものまで様々です。
『オートマチック拳銃編』
バレル
多くの物がスライドに覆われる形になっています。
また、映画などではよくサプレッサー (減音器)をその辺で拾った銃などにも簡単に取り付けていますが、基本的に取り付けの加工 (銃口付近の銃身にねじ切りなど)をしていないとそういったものは装着できません。
排莢口
基本的には右側に排莢するように作られています。
スライド (遊底)
ライフル編のボルトを参照。
ハンマー
オートマチック拳銃に限らずハンドガンの多くは外部に露出したものになっていますが、ハンマーが銃内部に内蔵されたものやストライカー式というハンマーを持たない拳銃も近年では登場し始めています。
デコッキングレバー
起こされたハンマーを、弾を発射させず安全な位置に戻す役割を持った部品です。
セーフティ
射手が直接操作可能なものをマニュアルセーフティと呼び、多くものがレバー式となっています。
また、デコッキングレバーの機能を兼ねたものもあります。
しかし、最近の銃はマニュアルセーフティ以外の安全装置が発展し、マニュアルセーフティの無い銃も登場してきています。
スライドストップ
弾を全弾撃ち尽くすと、空の弾倉のマガジンフォロワーが内部の機構と連動しこの部分を跳ね上げ、遊底を後退したままの位置で止めることが出来ます (この状態をホールドオープンと呼びます)
また、スライドストップの無い銃でも、マガジンフォロワーが遊底を固定しホールドオープン可能な銃もあります。しかし、この場合はマガジンフォロワーが遊底を止めているので、弾倉を引き抜いた際に遊底が前進してしまいます。
スライドストップが掛かり、ホールドオープンした銃は弾倉を入れ替え、スライドストップを下に下げるだけで装填が完了するので、再度遊底を引く必要はありません。
ですが、必ずしもそうしろと言うわけではなく、新しい弾倉に入れ替えた後、遊底を引いてスライドストップを解除する再装填の方法もあります。 (スライドストップは空の弾倉と連動するので、弾の装填された弾倉が入った状態だと遊底を引いた際に勝手に下に下がります)
ランヤードリング
銃にランヤード(吊り紐)を通すための輪です。
軍用銃などに多く見られ、主にグリップ底部周辺に設置されています。
『リボルバー編』
シリンダー
リボルバーの弾倉兼薬室部分です。
5〜6発程度の物が多いですが、口径によって8発など大容量の物もあります。
セーフティ
基本的にリボルバーにはついていませんが、鍵を使いハンマーを起きないようにさせるキーロック機構などユニークなセーフティを持った銃も存在します。
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