春はあけぼの

放課後ティータイムの時間はあっという間にやってきた。

ホームルーム修了のチャイムが鳴ると、クラスに生まれ始めた小グループの輪があちらこちらに集まる。

クラスメイトと一緒に帰ろうとする者、後で遊ぶ約束をする者、部活動の相談をする者と様々である。

そして春夏秋冬「御厨春海」「浅倉夏樹」「篠原千秋」「白河真冬」の四人の女生徒たちは、春海の持ってきたお弁当を肴に、中庭の雪桜で花見をしようと再び集結していた。

千秋が

「入学式の後、真冬と2人で飲み物買っておいたよぉ!」

と、得意げに巾着袋を持ち上げる。


「さっすが気がきくゥ!あたしのワンカップも買っといてくれた?」

と、春海が調子に乗る。


「コラコラ〜w」

夏樹が笑顔でツッコんだ。


「残念。ワンカップはないけど、お茶と葡萄ジュースなら買っておいたヨ♪」

真冬が取り出して見せる。


「ワイン代わりね。イイぞ!」

春海が浮かれて喜ぶ。


「飲んだことないクセに!」

夏樹がまたツッコむと


「てへ、バレたか!」

春海がおちゃらけた。元来、おちゃらけなければ気が済まない性分なのだ。おそらく大阪生まれの父の性格を受け継いでいるのだろう。


「本当は春海には、酔わせて色々と聞き出したいことが有るけどね。」

千秋が思わせ振りに目配せする。


「そうだ、そうだ〜怪しいぞ!」

真冬が同調する。


「え!?な、なんのことやらサッパリ・・・」

春海がしどろもどろになってしまえば


「噛み噛みやないかい!」

三たび夏樹がツッコんだ。どうやら彼女の重要な役割が確立された様だ。


「まあまあ。めでたい話の続きは、お花見の席でたっぷりと聴かせてもらいましょう♪」

千秋は、皆を促すと立ち上がった。


「そうしようそうしよう。春海は覚悟して今のうちに答えを考えておいてね(笑)」

真冬がにっこり微笑んだ。


『親友って怖い』

春海は心の内で身震いした。




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