春はあけぼの

「ちょっとちょっと今の聴いた?あの人生徒会長だって!?春海ったらいつの間にあんなイケメンと知り合ったんだろ?」


「ホント超羨ましい!これは後で尋問しなくちゃね!」

千秋と真冬がすっかり興奮して顔を見合わせる。


するとふたりの話に割って入って、前の少女が振り向く。

「乗鞍八千代17歳、清涼高校生徒会長。乗鞍鉄道グループ総裁のひ孫に当たる御曹司よ。彼に既に接近しているとは御厨春海、入学早々学級委員長の座を射止めるだけあって只者じゃないわね。」


「誰?」

千秋が囁く。


「さぁ。」

真冬が首を傾げる。


「私?私は新聞部のエース候補の首藤未知瑠。将来を約束されたジャーナリストの卵よ。あなた達もあの娘の見せかけの姿には騙されないことね。」

彼女が銀縁眼鏡のフレームをクイっと押し上げると、レンズが金色にキラリ光り輝いた。

同じ新入生ならまだ入部すらしていないハズなのに、随分と自信満々な台詞だ。


「・・・春海はただのスイカ頭だよねー。」


「うんうん間違いない。」

ふたりはヒソヒソと囁きあった。

どうやら親友とは、悪友と同義語らしい。




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