春はあけぼの

浅倉夏樹(15)は、鼻唄混じりに自転車を手離し運転で漕いでいた。

中学を卒業して、長い春休み明けの待ちわびた高校初日である。

小学生の頃からずっと続けて来た剣道を遂に辞めた。

両親をはじめ、顧問の教師にも、才能があるのだから勿体無いと引き留められたものの、新生活を迎えるにあたって、もはやなんの未練もなかった。

高校では他の運動部の活動もやるつもりはなかった。

アルバイトとかデートをしたりとか、これまでやったコトのない当たり前の物事にチャレンジしてみようとワクワクしていた。

これまで無縁だったメイクやお洒落なファッションにも興味津々だった。

夏樹には夢があった。

ファッション・デザイナーや、スタイリスト、メーキャップ・アーティストなど、これまでの自分には一切無縁な肩書きの職業の人になってみたいという壮大なる願望が・・・。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る