春はあけぼの

春はあけぼの。早春の光を華奢な身体に浴びながら、御厨春海(16)は一心不乱に走っていた。


わーんお母さんのバカバカーっ!

なんで初日から寝坊すんのよー!何がお弁当頑張って作ってたからよ。入学式は半ドンなんだから、お弁当なんて必要ないっつーの!!初っ端から先生達に目をつけられちゃうじゃないのよォ!モォーーッ!!


春海は半ば叫びながら、食パンを片手にもう片方で新品の皮鞄をぐるぐる振り回しつつ、駅へと向かう坂道を一気に駆け下りていった。


自分の朝寝坊は棚に上げてよく言ったものだが、まあ無理もない。昔から春海は遠足や運動会の前の日は、興奮してなかなか寝つけない少女だったのだから。






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