春はあけぼの

篠原千秋(15)は、高校の入学祝いに買ってもらったばかりの、スマートフォンを手にニヤニヤしていた。

中学生とは明らかに何かが違う。がんじがらめに縛られていたものから解き放たれた感じがして、高揚感で満たされていた。

制服の高校を選んだのも、気分が一新されて正解だった。

きっとコレが大人になるってコトなのかしらね。

少し勘違いしている気もするが、彼女の気持ちも解らなくはない。

何故なら、幼稚園から大学までエスカレーター式のガチガチの私立の女子校を飛び出して、わざわざ普通の公立高校を受験し直したのだから。

堅苦しい女の園を抜け出して、もっと気楽に夢を語りあえる新しい友だちを作るんだ!

千秋は今、理想に燃えていた。



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