十月桜編〈Here?〉

「――体を?」

 レースが多く、白の長袖でフリルの多いゴージャスなネグリジェを着て、白いベッドにうつ伏せで横になっていたさくらが聞き返す。

 隣には青葉が居て、ベッドの積層液晶画面レリーフホログラムで二人で音楽番組に見入っていた。

「ああ、世話になるにあたって、祥焔かがり先生の代わりに何かしてやれないかと思ってな」

 フローラはワイシャツっぽいチェック柄のパジャマ姿で、さくらの寝そべるベッドに歩み寄る。


「そう言う事、う~~ん、……でも実を言えばさくらもやり方を良く理解してないから、さくらじゃ具体的には教えられないの」

 起き上がり、画面を消して青葉とともにベッドの脇に腰掛け直して、そう言いつつも嬉しそうに左隣を叩いてフローラに座るよう勧める。


「……そうか、だが青葉」

 さくらの隣に座りながらフローラが問う。

「ん? なあにフローラお姉ちゃん」

「お前ならさくらの身体情報と、そのメンテナンス方法も分かっいているんじゃないのか?」


「うん、知ってるよ~~。でもそれなりに専門知識がないとできないよう?」

「う~~……そうなんだ」

 フローラとコミュニケーションがとれるチャンスと思っていたのか、さくらが寂しそうに言う。

「そうか。だが、私とて桜の研究やデータベース化を目指している身だ。Machineマシン technologyテクノロジーの事も覚えていてソンは無いんじゃないかと思う」

「フローラ……♪」

 食い下がるフローラの言葉にさくらが喜ぶ。


「……そっか。そこまで言うのなら教えてもいいけど、それには相応の覚悟とリスクが必要になるわよ?」

 すこし考える仕草の後、青葉が注意を促す。

「……どういう事だ?」


――――――ママのからだには------ぐんじきみつが含まれているから、聞いたら最後、裕貴お兄ちゃんみたいに、ずーーっと-------だい3きかん--------かんしとけんえつを受ける事になるわよ?」


「え? え? 何? 青葉、途中なんて言ったの? ゆーきがどうだっていうの?」

 焦ったさくらが聞き返す。

「ゴメンねママ。今ママが聞こえなかった内容は、残念だけど説明できないの」

「……そう、分かったわ青葉」

 薄々自分の秘密と立場を察しているさくらが残念そうに答える。


「さくらが聞こえない? ……そうか! 今度は固有周波数で発して、私だけが判別できる音で喋った訳か」

「そう言う事。――で、どうする~?」

 青葉が聞き返す。

「今の話だが、私の周りでは誰がその扱いになっている?」

「祥焔先生と裕貴お兄ちゃんだけよ。ママと緋織さんは当事者だから立場が違うわ」

「…………………そうか」

「フローラ…………」

 顎に手を当て、しばし考え込むフローラを、さくらが心配そうにのぞき込む。


「――なら聞かないでおこう。そこまで知ったら、裕貴はますます私に対して負い目を強くして、萎縮してしまうだろうからな」

「分かったわ、フローラお姉ちゃん」

「だがまあ、私もこの家に厄介になっている間、いくぶん気が楽になるから、差支えない範囲でリハビリを手伝わせてもらえたらありがたい」

「本当? さくらは嬉しいわ。どう? 青葉」

「う……ん、緋織さんに相談してみるからちょっと待って」

 二人の言葉に押され、青葉が何か考えながら緋織と通信を始めた。


「うん。……うん、分かった…………………」

「何だって?」

 フローラが尋ねる。

「ええっとね、わたしが祥焔先生の代わりに超音波スキャニングして、データ類を収集して緋織さんに送るから、フローラお姉ちゃんはわたしの指示通りにママの体を触診してくれる?」

「ああ、分かった」

「じゃあ、さくらの方はいつもみたいにすればいい?」

「うん」


 そうして3人がベッドに上がって配置に着く。

「……ん、まずはうつ伏せになって、フローラお姉ちゃんはママの左右のひざを数回曲げて。その間ママは力を抜いてね」

 青葉が指示を出す。

「分かった、…………こんな感じか?」

 フローラがさくらの膝横に立ち、両手をかざしている青葉に聞く。

「……うん。いいわ…………左はOKね、じゃあ次は右」


「分かった…………うーん……さくら、さっきから力を抜いているんだよな?」

「ええ、どうかした?」

「いや、なにか、力を入れられているような抵抗感があるから……」

「ああ、それは人工筋肉エラストマー用の発電装置が、両膝の人工関節のリンク機構に組み込んであるのよ」

 青葉が説明する。

「なるほど……エラストマー用の電力をどこから発生させているのか分からなかったけど、そうだったのか」

「傷痕を見ればわかると思うけど、ママは事故で右大腿部を切断していたから、その部分と背中と腕の一部にエラストマーが移植されているの。今フローラお姉ちゃんがやったのは、その発電装置の動作テストで、私がそれをスキャニングしたのよ」

「そうか、しかしこんなわずかな抵抗値で歩けるだけの電力が得られるのか……凄いな」


「そうなの? さくらキカイの事は詳しくないから……」

 首だけで振り返ったさくらが他人事のように言う。

「何を言ってる? 自分が何学科に入ったか忘れたか?」

 フローラが半ばあきれたように言う。

「そうだけど……教習所でも自動車構造学はニガテだったのよう……」

「ママ、それは私がフォローするから大丈夫よ」

「ありがとう青葉、頼りにしてるわ」

「うん♪」

 青葉が嬉しそうに目を細める。

「……そうそう、ちなみにママの両足に使われてる関節代替型発電装置サブシチュエーション ジョイント ジェネレーターとバッテリーと、エラストマーのセットだけで、家2~3軒買えるくらいの莫大な製造コストがかかっているのよ?」

 指を立てて、青葉が真剣な眼差しで言う。


「「ええっっ!?」」


「そして、その製造方法と設計図が××チョメチョメなのよ」

「なるほど、道理で聞いた事の無いテクノロジーだと思った」

 そしてそのテクノロジーの応用にある先、“サイボーグ”の存在を洞察し、フローラは身震いした。

「そう、だからママはアメリカ以外の国には旅行できないの。分かる?」

「ああ、だから制限装置リミッターの外された“青葉”がパートナーなんだな?」

「うふふ、そう言う事!」

 青葉が誇らしげに笑う。

「そうだったんだ、まあ日本から出たいと思ったことは無いからいいけど……」


「じゃあ次は背中のエラストマーね」

 青葉が次の作業を指示する。

「は~~い……」

「どうした?」

「うう、くすぐったいのよね……あれ」

「そうか。ならさっさと終わらせようか」

 フローラが淡々と言う。


「じゃあフローラお姉ちゃんは私が指示したタイミングで、ママの背中のエラストマーを指で二回押してね。ママはそれに合わせて力を入れた状態と抜いた状態にしてフローラお姉ちゃんに示して」

「分かった。けどエラストマーを触られてくすぐったい? エラストマーに神経は通っていないだろ?」

「そうだけど、その上の皮膚にはちゃんと感覚があるのよ?」

「ああそうか、うっかりしてた」

「じゃあ始めましょう」

「は~~い……」


「ここ」

 青葉がレーザーポインターで場所の指示を出す。

 ぶに。

「ひゃん……」

 ぷに。

「あん……」

 …………。

 さくらの反応にフローラが顔をしかめる。

 

「次はここ」

 ぶに。

「あくっ……」

 ぷに。

「イヤン……」

 …………。

 フローラがさらに顔をしかめる。


「次はここ」

 ぶに。

「んあっ!」

 ぷに。

「あうっ!」

「……なあさくら。少し黙ってくれないか?」

 フローラがついに不満を漏らす。


「ひ~~ん……そっそんな事言われても~~……」

「はぁ……。まあいい、次」


「くすっ……。じゃ次はここ」

 H……Here?(こっ、ここか?)

 フローラは青葉が示した場所に疑問を覚えて一瞬躊躇ためらいつつも、素直に従う。


 そして――

 ……つぷっ。


「きゃんっ!!」


 さくらがお尻を押さえ飛び起きる。

「oh!!……」

 フローラが飛び起きたさくらの頭とぶつかりそうになり、とっさに反り返る。


「もうっ!! 青葉ったら! そこは違うでしょ!!」

 さくらが真っ赤になって抗議する。

「青葉、そうなのか?」

「あーはっはっは! ごっごめんママ。フローラお姉ちゃんがあんまり生真面目にやってるからつい……」

「……やっぱりやめさせてもらおうかな」

 フローラが怒りをにじませる。

「ぷっ、ごっごめんなさい……真面目にやるから……うっふふ……」

 青葉が笑いながら謝る。

「もう! フローラも気付いてよう! いくらなんでもお尻までエラストマーが移植されてるわけないでしょ!!」

「うっ! ……確かにそうだ。すまん」


「まったくもう!! 後でフローラのも突っつかせてもらうからねっ!」


「いや、それは……」

 さすがに非があるのを認めるが、その仕返しには承服しかねた。


 そうしてひと通り検査が終わり、フローラが思い出したように声をかけてきた。


「……そうだ。さくら」

「なあに?」

「すまないがもう一度体を見せてもらえないか?」

「……いいけど、どうして?」

「裕貴が言っていた比喩をじっくり考えてみたいんだ」

「あの、“桜花の映り込んだ抜身の日本刀”って言ってた事?」

「ああ」

「ふうん……」

 さくらが腑に落ちない返事を返す。


「ダメか?」

「そうねえ……。そうだわフローラ!」

「なんだ?」

「どうせならフローラも脱いでくれる?」

「なぜ?」

「さくらもフローラの体を見てみたいのよ」

「……まあ、いいだろう」

 フローラは少し戸惑いながら答える。


 ファサッ……。

 そうしてさくらとフローラが夜着を脱ぎ、お互いにパンティ一1枚の姿になる。

「ふふ、やっぱり大きいわねえ……」

 フローラの正面に立ち、その胸を包むように、優しく触れながらさくらが嘆息を漏らす。

「んっ……どっ、どこぞの男には全然宣伝効果は無かったがな」

 さくらの熱っぽい手の平を感じながら、少しムズがる様にフローラが愚痴を言う。

「……ふん、だって、裕貴お兄ちゃんの好みはママ位の大きさなんだから当然よ」

 青葉がベッドの上で憮然と言い放つ。

「もう! 青葉ったら、そんなこと言うもんじゃないわよ? 自分でもそうゆーきに言っていたでしょう?」

「……は~~い。ごめんなさいママ」

「うん。いい子ね青葉、大好きよ」

「…………うん」

 青葉が嬉しそうに呟いて俯く。


「……それにしても本当に凄まじい傷痕の数だな。……触れていいか?」

 フローラはさくらの前に屈んで膝を付く。

「いいわよ」

「ありがとう」

 まずはさくらのお腹にある、いくつもの引き裂いたような傷を縫合した手術痕をなぞる。

「んっ……くっ…………くっ、くすぐったいわフローラ」

「ああすまん、もっと優しくしよう」


「ううん、違うのよ、傷の近くは神経が敏感だったり、感じなかったりして感覚がマダラ模様になっているの」

「……そうか、事故でできた傷はそういうふうになるものなのか」

「うん? フローラもあるでしょう?」


「私の場合は折れた骨が一瞬飛び出ただけで、さほど傷痕は荒れていないし、神経を傷つけないように筋肉に沿って切り開いたから、感覚がさくらが言う様なマダラになっていないんだ」

「へえ、じゃあちょっと見せてくれる?」

「ああ」

 フローラはベッドに座り、ベッドに左足を伸ばしてさくらに内腿を示した。

「ほら、分かるか?」

「うん。本当ね。赤い線一本で縫い痕も細かくて、すごくキレイなのね」


「医者が言うには、メスで切開した傷は数年はかかるが、綺麗になくなるそうだ」

「ふうん、いいなあ……」

 そう言うと、さくらがフローラのその傷をなぞるように指を這わせた。

「Oh!……さっさくらっ!」

 フローラが声を上げる。

「あら? フローラってビンカンなの?」

「くっ! ……ふっ、普通内股は敏感なものだろう?」

 フローラはベッドから足を下ろして膝を閉じる。


「ええ? 入院中はゆーきにいっぱい触ってもらってたんじゃないの~~?」

 さくらは拗ねたようにそう言うと、フローラの足首を掴んで引っ張りながら、ふたたび内股をなぞる。

「Ahaa!! …………くっ、止めろ。裕貴は結局目隠しをしやがって、ほとんど見ようとしなかったうえに、スポンジ越しでしか触らなかったんだ」

 情けない声を上げてしまい、真っ赤になりながらフローラが足を引き戻そうとするが、さくらの意外な握力でガッチリと足首を掴まれ、内股のままベッドの奥へずるずると逃げる。

「ええ!? 本当~~? ――えい!」

さくらはそう言うと、体重をかけてフローラ足を引っ張り、フローラの足を抱えるようにして、ふたたび内股をまさぐり始めた」


「Please stop! (やめて!)  Ahaaaaaaa!!…………stop! stop! stop! (ダメ! ダメ! ダメ!……)」


 フローラは最後は女性言葉に戻り、涙ぐんで懇願し始めた。

「分かったわ。止めるわ。………………ごめんなさい、フローラ」

 涙を浮かべ始めたフローラの様子に、さくらが躊躇ちゅうちょして足を離す。


「…………………………」

 フローラは脇にあったクッションを掴むと、そのまま顔をうずめて小刻みに肩を震わせる。

「…………………」

 さくらはそれを見てフローラの脇に黙って正座し、クッションごと頭を抱き寄せて強引に膝枕をした。

 フローラは髪を乱してクッションに顔をうずめたまま、さくらの膝に頭を預ける。

「「………………………………」」

 そうしてしばらくの間、さくらは無言でフロ―ラの背中をさすった。


「………………そう。ゆーきったら本当にフローラに手を出さなかったんだね」

 ピクン。

 フローラの嗚咽が治まった頃、さくらがポツリと言い、フローラがわずかに肩を震わせる。


「でも大丈夫。フローラはこんなに魅力的なんだから、嫌われる事は絶対ないわ」

 お礼の言葉も謝罪も、さくらが言ったら意味をなさないのが分かっていたのか、さくらは言葉を選んでフローラを優しく励まそうとする。


「……して」

「うん?」


「……どうしてそんな事が言えるの?」

 フローラは涙で濡れた顔を上げると、非難するようにさくらに問いかける。


「だって、さくらはこんなにフローラが可愛いと思うんだもの――」

 そう言うと、フローラの顔を引き寄せ、涼香と同じように、いたわるようなキスをした。


「――……ん」

 フローラはくぐもった声を上げてわずかに抵抗するが、さくらは一瞬離すと、角度を変えて再び唇を重ねる。


「「…………………………………………」」


 強張ったフローラの唇がゆるんでくると、さくらはフローラの胸へ手を回し、優しく愛撫し始めた。

「……Oh……N……No…………」

 フローラはなおも抵抗するが、体は口ほどに拒絶しなかった。


「うふふ、……実はさくらも同じだったのよ。だからちょっとだけフローラの胸を貸して欲しいな」

 フローラを見つめるさくらもまた、その瞳に涙を浮かべていた。

「……さく……ら……」


「優しくするから……ね?」

 そう言うと、照明が落とされ、部屋が薄暗くなっていった。


「……ありがとう、青葉」


 „~  ,~ „~„~  ,~


 ――雨糸の個人サーバーの部品保管庫アイテムストレージ


「青葉か、どうしたアルか?」

 空間に浮かびながら、雨糸がひた隠しにしていたフォルダーを見ていた雛菊デイジーが、フォルダーを閉じてロックし、青葉を振り返って近づく。

「うん、ママがフローラお姉ちゃんとイイコト始めたから、邪魔しちゃいけないと思って、素体ボディからログアウトしてきちゃった」


「おお! フローはついにそっちに目覚めたアルか!」

「ううん、そうじゃなくて、……入院中、裕貴お兄ちゃんが散々つれない態度をとっていたから寂しかったみたい」

「そうだたか。まあ、涼香とあんな事があったなら、臆病になるのも当然アルな」

「うん。まあそのおかげでママのフォローもして貰ってるから、私は感謝もしてるんだけど……」


「青葉のそういう考えも間違いではないアル。……ところでそれはいいアルが、ちゃんとツインの方はモニターしているアルか?」

「うん、それは抜かりないわ」

「そうアルか。良かたアル。青葉がいくら融合核フュージョンコアで知識が豊富でも、世間知らずだし作られてまだ1年と31日だから、デジーはちょっと心配アル」


「心配?」

 青葉が嬉しそうに聞き返す。


黒姫くろねえに見せられたアルよ。威力を落としたとはいえ、ゆーきに草薙の剣エメラルドブレードで切りかかったアルね?」

 雛菊が腕を組んで睨む。

「うっ! そっそれは……」

「よく聞くアル。デジー達DOLLは、あくまでも人間のサポートに徹して行動し、マスターのフォローをするのが基本概念アーキテクチャーアル、デジー達が自分の意志を持たされているのは、マスター達が普通でない立場に立たされていて、もしもの時に“超法規的エクステリーガルな対応をする為”アルよ?」

 雛菊に肩を掴まれて怒られ、青葉のアバターが幼児に変化した。

「うん、わかっていた。けど……」

 指を加える仕草で上目遣いで青葉が反論しようするが、雛菊の強い視線に言葉を繋げなくなる。

「デジーの前のマスター、“弥彦”と過ごしたログは見たことがあるアルか?」

 雛菊が小さくなった青葉に合わせて、腰を落として優しく聞く。

「!!」

「……だから、もしもの時以外は自分の意志で、人間をコントロールしようとするのは、とってもいけないアルよ?」

「雛姉……」

「青葉、良かれとおもても現実がついてこない事がたくさんあるアル。青葉にはデジーみたいに“後悔”なんて負の感情を学習して欲しくないアル」


「うん分かった雛姉、気を付ける」

「ふっ、青葉はいい子アルな。よしよし♪」

 そう言って雛菊が青葉を撫でる。

「……ありがとう雛姉ひなねえ。……うふふ♪」

 青葉が子猫のように雛菊の胸に飛び込んで甘える。


「……そう言えば、頭にカブてるこのヘンなお面は何アルか?」

 雛菊が撫でながら青葉が帽子のように被っていた、祭りの夜店で売っているようなお面を示して聞いてきた。


「ああこれ、記録撮られたら二人が可愛そうだから、OKAME ちゃんの表層人格パーソナルキャラも一緒に連れてきちゃった」

 泣いたカラスが笑う様に、青葉が嬉しそうに話し始める。

「そうだたアルか。普通のキャラはやっぱり情報量が薄いアルな」

 それを聞いたお面OKAMEの表情が悲しそうな顔に変化した。

「もう、雛姉ったら! そんなこと言ったらOKAMEちゃんが可哀想よ」

 姉妹の中で一番下の青葉は、妹ができたかのようにOKAMEを庇い、雛菊に反論する。

「そうアルな。OKAME、悪かたアル」

 雛菊が微笑ましく青葉を見つめて謝り、それを聞いたOKAMEの表情がにこやかになる。

「はい。よろしい」

 怒られてプチ報復を果たした青葉がふふんと胸をそらして言う。


「まあ、こうして3人でボーっとしてるのも暇だし、中将姫ちゅうねえ呼んでさっきのログを渡しましょ。そしてみんなを呼んで、次に遊ぶ計画でも考えない?」


「お! それいいアルな。賛成アル」

「じゃあ、私が中姉にログを渡してる間に、雛姉は雨糸お姉ちゃんに休み中の予定を確認してくれると助かるわ」

「承知したアル」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る