第一部 トークイベント「角川文庫に聞く! 新人賞で求める小説とは?」

 で、今回も会場は角川第3本社ビル9階。出版事業戦略室、宣伝局のあるフロア。

 司会は今回もカワノさんです。カワノさんってカクヨム放送局に時々出現する副編集長さんのことなのかなあ、謎です。


 いつものようにアンケートもあります。

 カクヨムをどこで知った? 情報収集に利用するWebサービスは? 作品を探す時に活用する機能は? レビューの見せ方、活用方法についてどう思うか? カクヨムに期待することは? 希望する機能改善は? 

 表側はこんな感じのアンケート。私の答えはほとんど「特になし」 


 始まるまでの待ち時間は「第1回 カクヨムWeb小説コンテスト大賞7作品刊行記念 プロモーション映像 」が正面に投影されていました。


 そして14時。司会のカワノさんの挨拶により、ミーティング開始!


 第一部は吉良浩一角川文庫編集長によるお話です。

 いきなり本題です。なぜ角川文庫が今回カクヨムに参加することになったのか。

 角川はまもなく70周年。記念事業を企画中。

 そんな中、角川文庫の読者は現在40、50代の女性が圧倒的に多いという状態。

 そこで、

 プロとして十分通用する有力な新人作家を発掘するためだけでなく、


 若い男性読者を角川文庫に引き寄せたい!


 という目的があってカクヨムに参加したとのことです。熱く語っておられました。大真面目です。


 かなり本気です!


 皆様も是非とも協力してあげてくださいまし。


 で、次に角川文庫の現状をデータを出して説明していただきました。

 年代別、男女別の読者数を棒グラフで投影しての説明です。大変分かりやすく、しかも一目瞭然。このレポートの中で棒グラフをお見せできないのが残念です。


 最初の例として、スニーカー文庫、暁なつめ著「この素晴らしい世界に祝福を」

 一番多い読者は10、20代の男性。角川文庫とはまったく違う傾向。


 150万部を売り上げた角川文庫、新海誠著「君の名は。」の読者は、圧倒的に40代の女性が多いのです。しかしこれは子供に買ってあげている可能性もあるとの分析をしておりました。


 角川書店の単行本、米澤穂信著「いまさら翼と言われても」の読者は20代の男性が突出。これはアニメ「氷菓」を見た方たちが買っているのではないかとのお話。


 角川文庫、森見登美彦著「夜は短し歩けよ乙女」の読者は10、20代の女性が多い。ただし男性や40代女性も多い。これは今年映画化されるのでその影響もあるのかも。


 そして典型的角川文庫として出してきたのが、

 湊かなえ著「高校入試」と東野圭吾著「ナミヤ雑貨店の奇蹟」

 この二冊の読者は40、50、30代の女性がほとんど。驚愕の棒グラフでした。


 角川文庫の読者層に新風を吹き込みたいと思ってしまうのも、

 そりゃ無理ないよなあと思わされるデータでした。


 だったら角川文庫からも異世界物を出せばいいじゃないかと言われそうですが、さすがにそれは難しいのでして、

 あくまでも日常、リアルベースの話が基本。そこにちょっとした非日常、ファンタジー要素が加わったようなものを求めているようです。

 今回の「お仕事小説コンテスト」も仕事そのものの面白さ、知っているつもりで知らなかったお仕事の意外な面を楽しみつつ、

 成長、困難、葛藤、恋愛、現実社会につながる問題提起などが描かれた作品を期待しているとのことです。


 そんな作品、私の力で書けようはずがありません!

 これを読んでいる皆様は是非とも頑張ってくださいませ。


 それから作品の質だけでなく、プロとなりえる作家を探す場なので、

 一定のペースで作品を書ける人、年に最低2作をコンスタントに書ける人が欲しいとも言っておられました。


 ますます無理ですっ!


 で、話は元に戻りますが、若い男性読者を増やすにしても、角川文庫はライトノベルではなく、ライト文芸、キャラ文芸を志向しているようです。

 呼び方は似ていますが中身は全然違うようですね。ライトノベルの読者は同じ作者を買い続ける傾向が強いのに対し、

 ライト文芸の読者は作者にこだわらない傾向があるようです。

 最近のトレンドとしては特殊時間設定の作品、たとえば「君の名は。」とか、七月隆文著「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」みたいな、時間の制約の中で登場人物が活躍する小説が人気を得ているようです。もっともこれもいつまで続くか分かりませんが。


 ここまで約20分。吉良編集長のお話はこんな感じでした。

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