小学生時代 こぼれ話
物心ついたころから、私は周りの人からは「優しい人」というイメージが強かったようですが、私は自分が「特別優しい人間」だと思ったことはありません。
小学生時代にどんなことをしていたのか……。そう考えても覚えていることはごくわずかです。
けれど、小学4年だった時の記憶が、今でも強く残っています。
私の小学校には3つのクラスがありましたが、それとは別に「特別学級」というものがありました。
特別学級はなんらかの理由で、クラスの皆と接する子が出来ない子たちが、個別の部屋で授業を受けていました。
とは言っても、その状態はなるべく治した方が良いもので、給食の時だけはクラスに戻って一緒に食べたり、特別学級の子が普通のクラスでも過ごせるよう、先生たちも気を配っていました。
そんな中、私と同じクラスにN君という男の子がいました。
私は小学生だったので理由は知りませんでしたが、N君は特別学級の1人でした。
ある時、私は担任のK先生とN君と3人で、出かけました。
それはクラス行事ではなかったですし、よく考えれば特別に私とN君だけを連れて出かける、なんてことは珍しいことでしょう。
K先生が連れて行ってくれた場所には畑のようなものがあり、たくさんのキャベツが。そして、たくさんの蛍がいました。
正直、当時は幼かったので「キャベツ」と「蛍」がいた、というくらいのことしか私は覚えていません。
けれど、とても楽しかった、という想いはありました。
今になって思うと、K先生がN君を連れだしたのは、N君が皆と交流が出来るよう、リハビリの意味だったのだろうと思います。
その相手に何故私が選ばれたのかはわかりません。
推測するならば、当時の私はN君に優しく、N君が話しやすい相手だった、という感じでしょうか。
小学4年の頃に私がN君に対してどう接していたのか、私は覚えていません。けれど、何度かN君と話したりしていた記憶がぼんやりとありますし、悪い印象を持ったこともなく「好き」な友達だった、という感じです。
「優しい人」という印象が周りから強かった私ですが、私はやりたいようにやって過ごしていましたし、わざわざ優しく振る舞っているつもりはなかったです。
なので、自分のことを「特別」だとは思いません。
けれどあの時…ただ遊びに行っただけですが、あの時の私は「特別」だったのかもしれません。
5、6年生の時もN君は同じ学校にいたはずですが、私はN君に関しては「あの時」以外のことはほとんど覚えていません。
今になって思うのは、幼かった私の「優しさ」が、少しでもN君の力になっていたらいいなということ。
これが、曖昧にしか覚えていない、私の小学生時代のこぼれ話でした。
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