第14話

「今日は皆さん、本当にありがとうございました。」


みきりんが一行に挨拶をしたとき、きりんはストラップから飛び出した。

みきりんは、こきもりんの台まで歩き、一礼をした。


「きりんさん、ありがとうございました。本物ってあるんですね。私はもう、大丈夫です。」


「このストラップ!持っててよ。俺、ここに入って呼んでくれたら飛び出てくるから!」


みきりんはまっすぐきりんを見て、


「いや、もう大丈夫です。でも、見ていて下さい。」

「分かりました。勝手に見てるから。コケるなよー!」


みきりんが親指を立ててポーズを取った時、後ろのドアが開いた音がした。


グループのメンバーが続々入場してきた。みきりんはあっという間に何十人もいるメンバーに囲まれた。


「みきりん大丈夫ー?」

「あっ!なんか元気そうで良かったねー」

「みきりんさん、心配してましたー!」


剣城社長がじょんれのんのもとにやって来た。


「よっ!やってるか。」

「どうも。どうですか。この借りは必ず返します。」


社長はじょんれのんの背中を叩いた。


「返せるのかあ?楽しみにしてるよ。」


みなっちとえみゅは今度こそという顔で、赤井Pに詰め寄った。


「いや、ほらね。喜んでるでしょ。 さあ、みんな、せっかくだから歌ってみようかあ!」


じょんれのんの演奏が始まった。メンバーはそれぞれ好きに歌って踊っている。きりんは上空を飛び回りながら、コールをしている。赤井Pは、腕組みをしながら感慨深そうに眺めていた。目を半分開きながら。その襟足からは、小さな渦の様に巻いた毛がはみ出てていた。


              完

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こきもりん オタ霊きりん誕生編 ひょん @kinshiro1201

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