第12話

みきりんもじょんれのんも、驚愕してきりんを見つつ、演奏を続けている。

みなっちとえみゅは赤井Pとヒソヒソ声で揉めている。


「先生、サプライズやり過ぎです。あんな効果必要ですか??」

「するわけないだろ。知らないって。」

「じゃあ、何なんですか!本物の幽霊っていうんですか?」

「俺に聞かれても分からん。本当に分からん。」


きりんはみきりんがバラードを歌う時はコールせずに胸に手をあてて聴くことにしている。それが彼の敬意なのだ。歌が終わってエンディングでようやく、


「みっきりーーーーーん!」と叫んだ。


しかし、演奏は終わってしまった。


「あっ待って! あーっ!」


と、きりんはストラップに吸い込まれてしまった。


「今のは何ですか?映像を入れたのですか?」


みきりんが終わってすぐに周囲に問いかけたが、皆んな知らないという。

きりんも驚いている。


「歌が始まったら急に引っ張られて出られたよー!」


じょんれのんが、別の曲を試して欲しいと提案し、今度は別の曲を演奏することにした。伴奏が始まり、みきりんが歌い出したところで、再びストラップから光線が出て、きりんが現れた。今度はきりんも分かってもらう為、


「きりんです! 本物です!死んでますけどー!」


と飛び出しながら叫んだ。そして、歌に合わせていつものコールをした。今度はなるべく自由に飛び回りながらコールした。みきりんが歌い終わる直前に、きりんは叫んだ!


「リピート!」


それを合図に、じょんれのんがソロを入れて、もう一度イントロに繋げた。みきりんも歌い続けた。きりんは間奏中に想いを告げた。


「みきりん!俺は勝手に君を思って守ってるんだよ。勝手なんだよ。俺はみきりんを守れて勝手に喜んでるんだよ。俺、まだ死んでないよ。いや、死んだけど。でもほら、君をまだ守れてる。歌を聴けてるんだよ。だから、どうか、どうか責任を感じないで欲しい。それから、出来たら歌を続けて欲しい。勝手なお願いだけど。みきりんが歌うために僕は守ってるんだよ。だから、2度とこんな事故は起きない。聴きたい人が一人でもいれば歌を続けるって言ったよね。続けようよ!そう!行こう!夢の続きを共に歩もう!」


みきりんは涙ぐみ、でも、きりんをまっすぐに見つめて、笑顔で2度、うなずいた。

みきりんは続きを歌い、きりんはコールをした。そして、最後に近づいた時、


「みんなありがとう!大丈夫!心配ない!」


自ら飛び込むように、ストラップに吸い込まれていった。


「ご苦労さん。」


ストラップの中で、阿弥陀如来様、観自在菩薩様、勢至菩薩様が待っていた。






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