第11話

開いたドアからは赤井Pに続いて、みなっち、えみゅ、そして、みきりんが入って来た。みきりんは真っ白のワンピースを着ている。赤井Pがみきりんに声をかけた。


「さあ、行っておいで。」


みきりんは1度握手会のブースに入って正面を見て、こきもりんのぬいぐるみに気付いた様だ。ゆっくりとこきもりんに近づき、目の前で一礼をした。


「今日は私のために、来てくれてありがとうございます。そして、私を守ってくれてありがとうございます。」


みきりんはポケットからこきもりんのストラップを取り出して、こきもりんぬいぐるみの前に置いた。ストラップの中のきりんがボヤいている。


「おいおいおい、みきりんなんでここに置いちゃうの?あーみきりん!離れたくないよー。 」


みきりんはこきもりんから一歩離れた。


「これからきりんさんのために、歌わせて下さい。そしてもう、誰のためにも歌うことはありません。」


「ちょっと待って下さい。」


こきもりんの後ろのカーテンが開いた。きりんは飛び上がった。


「じょっ!じょんさんやん!」

「きりんの友人で、じょんれのんと言います。きりんはいつも、みきりんへの想いは決して届くものではないと言ってました。そしてその届かない想いを届けるんだと言ってました。そして、俺は死んでもみきりんを守るんだと言ってました。それは守りたいから、勝手に守ってると言ってました。みきりん、きりんのために歌ってくれるといってくれてありがとうございます。その演奏をさせてください。きりんに想いを届けたいんです。お願いします。」


みきりんは少し驚いていたが、じょんれのん顔を見て、本気を感じるものがあったらしい。


「分かりました。それではお願いします。私が一番大事にしている曲です。」


みきりんがタイトルを言うと、じょんれのんはギターを弾き始めた。会場が柔らかい音に包まれ、みきりんの高音で美しい声が響く。何故かその音と声は会場の上の遠い所から降っている雪の様に、上から降ってくる様に聞こえた。突然、こきもりんストラップから一筋の黄色い細い光が天井に向かってまっすぐ走った。


光線は扇状に広がり、胸に手をあてて目をつむっているきりんが現れた。

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