第9話


「あーーまた来た!ズキューン!」

「あーーまたや!ズキュンズキュン!」


きりんは今、こきもりんストラップの中から、蚊を撃っている。


赤井Pご一行は、みきりんにきりんと会う約束をしたあと帰った。きりんはみきりんと会うまでは、


「成仏なんて出来るかぁぁぁっ!」


と、こきもりんストラップの中に逃げて入ったのである。阿弥陀様は、きりんを引きずりだすことはせず、 むしろ封印してしまった。両菩薩が理由を聞いたところ、


「面白そうやん。」


ついでに、 きりんからはみきりんが透明で見えない様にした。両菩薩がその理由を聞いたところ、


「あいつだけみきりん見れるの腹立つやん。」


それ以来、きりんはみきりんのスマホに繋がっている。みきりんを守る積もりなのだが、みきりんはずっと家にこもっているので特段守ることはない。そこでせめてもと、飛んで来る蚊を撃っている。


「コラッ!このくそ蚊ども!お前らに吸わせるゆきりんの血は一滴もないんじゃぁぁぁっ!」


夜になると、蚊取り線香を火で焚いて、ウチワで一晩中パタパタ煽っている。

しかし、ゆきりんは悪い夢でも見たのか、急に起き出した。きりんは慌てて火を消したが、多少煙が残ったらしく、寝ぼけているゆきりんに煙が見つかった。

ゆきりんはスマホにフーフーと息を吹いてマジマジと見てから、なんだ寝ぼけていたかと、すぐに寝入った。きりんはその息をモロに被った感動のあまり、失神しそうになった。


「いやもう、死ぬかと思った。もういつ死んでもええわ。死んでるけど。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る