第6話
赤井Pによると、みきりんはきりんさんの事を、全国で行われている握手会やイベントに必ず来てくれていたファンとしてよく知っているし、感謝もしている。そしてそんな彼が自分の為に、命まで投げ出してくれた。でも、自分はそこまでの人間とは思えないし、これ以上続けてまた何か起きて、それで誰かが犠牲になったら、もう彼に合わす顔がない。それに彼は命を投げ出して私を救ってくれた。その命で、自分だけが好きな歌を続けるのは不公平だし、申し訳ない。だから自分は歌う資格なんてないし、すぐに引退すべきだと思う、と言っているらしい。
赤井Pが説明している間、みなりんとえみゅは泣きながら黙って聞いていた。きりんはずっと泣き叫んでいた。
「みきりん違う! 歌って欲しいから助けたんだよ!歌って欲しいんだよ!俺は何のために......何のために!!!お願いします!みきりん!お願いします!歌を続けて下さい!!」
ここできりんの目の前に阿弥陀様ご一行が現れ、きりんに手招きをした。きりんは阿弥陀様に食ってかかった。
「え!どこか行くんか? はあ?どこに行くねん!どこに行けるっちゅうねん!こんなんで成仏するんか?え!するんか? 出来るわけないやろ! こんなんで成仏なんかしてられるかあぁぁぁ! 」
阿弥陀様は表情を変えずにきりんを見ている。きりんは止まらない。
「何か言えよ。あっ、そうか!地獄か?おうよ!地獄に行ったらあ! 火でも針でも持ってこんかい!その代わりもうちょっと、もうちょっと居させてくれ!みきりんと、みきりんと話をさせてくれ!」
突然、部屋のドアが開いた。ドアの向こうに俯いて立っていたのは、みきりんだった。みなりんが赤井Pを見て呆れた顔で
「こんな時までサプライズ?」
赤井Pは驚いて首を横に振ってみきりんを見ている。その後ろでずっときりんを黙って見ていた阿弥陀様がようやく口を開いた。
「きりん、何か言うことあるやろ。」
きりんは阿弥陀様に手を合わせてひざまずき、
「神様、仏様、阿弥陀様」
「なんや3番目かい」
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