第78話 歴史の継承
梅の花 一輪咲いても梅は梅
これは新撰組副長、土方歳三の俳句である。
トッシーって大体トッシーだ。あまり認識に差異がない。
どの創作物においても、色男で合理化の鬼として描かれていることが多い。
燃えよ剣、PEACEmaker鐵、薄桜鬼はそんな感じ。銀魂とゴールデンカムイは例外で、新しい土方歳三を模索しているように思う。
近藤勇らと上京し、治安維持を目的とした新撰組を作りあげたトッシー。キャラの濃いメンバーとテロ事件を未然に防ぐ(冤罪っぽいよ☆)。
近代化の波に翻弄されながらも、西洋式の戦術を取り入れ、北海道で華々しく散った。
ここだけ切り取るとドラマチックで美しい物語ができそうである。実際は人斬り集団として新撰組は汚いこともやってきた。
そこを美化するべきではないが、新撰組の物語は語り継がれてきた。これからも続くだろう。
大きい物語が消えつつある。成長神話は消え、焦燥感が増す社会に我々は暮らしている。
マスに働きかけるものとそうでないもの、優秀か愚鈍。世界は二分化され大雑把になりつつある。ケーキを切り分けられない人は取り残される。
土方歳三の生き方はある意味愚鈍である。
負け戦を最後まで戦った。それがどうしたと笑うスマートな人達もいるだろう。
それでも新撰組の物語が愛されるのは二元論だけでない価値があるからではないかと思う。
敗軍の将の美学なんて、まんま司馬史観に影響されている。
新聞で発表された好きな作家ランキングで司馬遼太郎が二位に入っていた。
新撰組好きな人は大抵燃えよ剣を読んでいるので、土方歳三像が似かよるのは司馬遼太郎のせいではないかと勝手に思っている。
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