第77話 誰が沙都子を救うのか
最近のアニメを観ていると、人間がいかに形式に縛られているか実感する。
枠からはみ出ないことが何より重要視されていないか。プリキュアと深夜アニメの区別がつかなくなってきたのは、そのせいかもしれない。
そんな中で、ひぐらしのなく頃に業には毎回ハラハラさせられる。
雛見沢村を舞台にした惨劇の物語。一見ほのぼのとした萌えキャラたちが暮らす村では、オヤシロサマの祟り、鬼隠し、ダム闘争など不穏な世界観が渦巻いている。リゼロのようないわゆるループものに当たり、繰り返す惨劇をどう回避するかに焦点が当たる。
過去作では黒幕を見つけ、惨劇は回避された…はずだったのだが、古手梨花は再び昭和五十八年の雛見沢で真実を探すことになる。
過去作では、敵は外部の者だったが、今回は村そのものが梨花に牙を剥くような展開になっている。
梨花が田舎臭い雛見沢に見切りをつけ、外の世界を目指したことが今回の祟りの原因ではないかと推察される。
外の世界に触れたいというのは自然な心理だし、たとえ故郷を離れても戻ってくることはあるだろう。それでも、梨花は酷い目に合う。
この祟りは何となく私たちを取り巻く環境に似ているのだ。変わりゆく世界で取り残される恐怖を誰しも抱えている。
安心を得るために流行り物があれば飛びつくし、東京の不動産は高いままだし、株価は青天井に見えるし、マルチ商法はなくならない。
クラブハウスというアプリが招待制なのも、こうした心理を突いたものだとラジオでやっていた。急がないと乗り遅れますよという奴。
そんなもので安寧は得られないだろうに、飛びついてしまうのは確固たるものがない時代ならではか。現に見捨てられたと思った人達によって、トランプが誕生してしまっている。
つまりトランプはオヤシロサマだったのですよ。あうあう。
トランプはともかく、この空気はしばらく変わらないだろう。
ひぐらしは、この問題にどう折り合いをつけるのか注目している。
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