第74話 SFはオワコンか

 今年からカクヨムコンのSF部門が除外された。


 前年も該当作なしだったので、需要がないと判断されたのだろう。


 テクノロジーがあまりに身近に存在するので未来感が薄いのか、過去のガジェットをこねくり回すだけで新鮮味がないという批判もあるのかもしれない。


 科学は一部選民の所有物という考えは未だ根強いのではないか。科学の恩恵に預かっていないと訴える層は、トランプ支持者の中にもいると聞く。


 科学は万能ではない。しかし、SF小説の中には全能感に浸るような作品も存在し、そういった驕りが現在の窮状をまねいているとも言える。


 だからといって日本の研究者の待遇が悪いのは頂けないし、構造的な問題もある。我々の生活は科学抜きでは語れない。改善されるべき所は改善すべきである。


 こうなってくると、科学が小説に必要とされなくなったのではなく、逆に科学が空想を追い越して行ったのではないか。


 知らない間に我々は置いてきぼりをくい、我々そのものを必要としなくなる日が来るかもしれない。


 一瞬、コンテストで面倒な制約がなくなって幸便だと思ったが、白紙の状態から何かを作るのが日本人は苦手である。


 子供になって砂場遊びからやり直すのが一番の早道。そんなコンテストが今後、生き残るかもしれない。



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