自由な、それでいてただ一つの
次々と列車が発車していく大きな駅のすぐ近く、黄色い花畑がある。それはレテクルの背丈よりも、ずいぶんと大きな花だ。
「これは、一体何の花なんだろう」
「アロヴェのひまわりだな」
大鴉のワタは、つまらなさそうに言った。
「なんでも、この花を漬け込んだ酒は、至上のものらしい」
至上の美酒! それは、一体どんな味がするのだろう。
「ただ、結構きつい酒だという話だ。慣れないうちは飲まない方がいいだろうな」
「それでも、飲んでみたいなあ。きっと素晴らしい味わいに違いないよ」
「自由と真実の味がするそうだ。まるで、一篇の天上の詩のような」
背丈の高い、黄色いアロヴェのひまわりは、風の音を奏でる。
土地に束縛されながら、だからこそ高らかに。
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