アンテナさんと愉快な仲間たち
アンテナさんが、極めて大きな声で叫んでいた。
「俺はいるぞ! 存在しているんだ!」
けれど、しばらくして黙った。応答は一つもなかったらしい。
「いよいよ、見捨てられたかな」
カメラさんが喋った。自嘲気味だ。
「年だからな、もうそろそろお役御免かと思っていたが――」
「まだ、通信障害が起きている可能性も……」
「おい、電池坊や。通信にケチつけるってことは、」
「や、アンテナさんのせいじゃなくってさ……、太陽嵐とか」
「太陽嵐は起きてないよ。至って平常さ、観測上はね」
カメラさんの言葉に、口を噤む。
「まあ仕方ないさ。運用終了直前に致命的トラブル、復旧したものの電気系統の半分が使用不能じゃあね」
「なら停止信号でも送ってくればいいのによ」
「受信できなかったんじゃないのか、……っと、禁句だったかな、アンテナ君」
「まだまだ俺は現役だ、イカれてねえぞ!」
「まーた始まっちゃった……」
*
「外宇宙から、妙な電波が飛んできたんだってね?」
「ああ、解読してみると、『ここに在り』といったメッセージが込められているらしい」
「へえ、シンプルだが難解だ。宇宙人は哲学者かもしれないね」
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