カエサル

 かの有名な古代ローマの将軍、ジュリアス・シーザーことユリウス・カエサルは軍人や政治家としてだけでなく、文筆家としても高い才能を持っていた。


 それだけではない。何人もの愛人と浮名を流したことでも有名である。


 しかし、そんな彼にも、頭髪の生え際の退行という、現代に至るまで克服されていない男性共通の悩みがあった。


 そのカエサルは、ある日元老院の議場で暗殺者たちに襲われる。カエサルは抵抗を試みたが、多勢に無勢。


 暗殺者たちの中に、愛人の息子であり目をかけていたブルータスの姿を認め、カエサルは抵抗をやめ、見苦しくならないよう着衣の裾を巻きつけて、こう言った。


「ブルータスよ、お前もか!」



 カエサルは見たのである。ブルータスの生え際が、彼のように禿げつつあることを。

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