第3話 日本人の行方

 日本人失踪事件から三日が経とうとしていた。マッドは地下のある施設にいて今回の事件の対策チームとともにいた。アメリカ政府の動きが慎重すぎると怒りをあらわにしたが、宇宙工学が専門のエリックが、が「対象が日本人だからさ。」と言った瞬間マッドはエリックの掴みかかった。 「だって本当のことだろ。逆の立場だったら日本人はアメリカ人を救出しに来ると思うか?」とエリックが言うと「当たり前だろう日米同盟を組んでいるのだから助けるに決まっている。」とマッドが言い返すとエリックは続けて「じゃあ聞くが北朝鮮が日本へ何発もミサイルを撃ってきたときアメリカ軍は何かやったか?あんたは何をやっていた?」とエリックは逆にマッドの胸ぐらをつかんだ。 「二人ともやめて今何するべきか分かっているはずよ。」とアリシアは二人の間に割って入った。「一週間ほど前にロシアで隕石が落ちたのを知ってる?」とアリシアはマッドに質問した。「ああ。またかって思ったよ。」「この間の事故アレは人工衛星の一部が落下したものなの。」とアリシアが説明しようとするとジョンが「アリシア!これ以上この話を彼にするべきじゃない。」と遮った。 「 彼も立派な関係者よこのことを知ってもらうべきだわ。それに内密にしても今のネット社会において秘密にしておくなんてことは100パーセント不可能よ。」「・・・わかったよ。」ジョンは渋々納得した。「・・・で人工衛星の件と日本人が消失したことの因果関係は?」とマッドが聞くと「普通の人工衛星ではなかったという事さ。」と代わりにエリックが返事した。 「他国の人工衛星があの国に落下した場合緊急記者会見、会談など行わずスクランブルを出して両国に緊張が走る。それが普通さ。しかし今回はそれをやらなかった。何故か?そこには今まで見たことのない生物が一緒に落下してきたからさ。」と普通にある事の様に話を進めるエリックに「おい。俺のことをバカにしているのか?そんな話が信じられるとでも思っているのか?」と話しているとマッドのスマートフォンがなった。相手はハンナからだった。「よくく聞いて、マッド朗報よ!あなたの息子である、秋斗が見つかったのよ。」その言葉に驚きつつも「ああ!本当かい!無事なのか!そうか!神よ!本当に感謝します!そうだ!後は妻だけだ!ああ。頑張るよ!」そういうとマッドはスマートフォンを切った。 「息子さん見つかったの?よかったわね。」アリシアは穏やかな表情を浮かべてそういった。「ああ。ありがとう。」と応えると「さっきの続きなんだけどとにかく見てもらったほうが早いと思うの。」こちらの研究室にきてと案内された。




目を覚ますと真っ白な部屋にいた。私はさっきまでシルビアたちといたはずなのに私以外にも大勢の人たちが大体教室ほどの広さの場所に三十人ほどの人がいた。「・・・ここはどこなの?」私だけでなく全員が不安そうな表情を浮かべた。状況を判断するのに精いっぱいだった。すると部屋にいるうちの一人が手が壁に当たりその壁が下に下がり窓ガラスが現れ外の様子が見えた。外は褐色の大地であちらこちらで砂嵐が起きていた。 「何だここは一体何が起きているんだ?」皆は窓ガラスのほうに集まりガラス越しに外を見まわした。すると窓ガラスとは反対側の壁の一部が下がり人らしきものが入ってきた。何故それが人らしきものかというとよく見ると人とは異なる点が見受けられるからだ。例えば皮膚は白金の蛇のようなうろこ状のもので覆われ眉のない大きな目が印象的な凹凸のない顔をしていて顎はなく、首が長く詰襟の光沢のある素材の服を着ていた。服や体形はとにかくそのインパクトのある見た目に圧倒され思わず「うわあああ!」と皆が声をあげた。 「待て!待て!これはあれだドッキリだ!」と一人の男が人らしきものに近づいて言った。「しっかしよくできているなぁ。ひょっとして映画の撮影かなんかだろ?」と解釈した。その言葉を聞いて安心したのか若い女性のうちの一人も「なぁんだ。ドッキリか脅かさないでよ。」と安堵した。すると他の男も「もういいですよ。スタッフさん出てきてもらって」と人らしきものに向かってそういった。しかし状況が変化しないので「あのう…。あなたのほうからスタッフに呼び掛けてもらえませんか?」と男がお願いすると、「スタッフ?私は何も知らない。」と明らかに人の声とは違うしかしながらしっかりとした日本語で話に応じた。 「うぉ…すげぇ機械で加工しているのかなぁ。」と初めに話しかけた男はあくまで彼が作り物であることを前提に話を進めていった。「あのう・・・私、明日テストなんでおわったんならもうかえっていいですか?」と少し申し訳なさそうに女性が手を挙げた。」「分かった。私が作り物でないか確かめてもらって構わない。」そういうと人らしきものはポケットからナイフを取り出して男に差し出した。 「私をナイフで傷つけてくれ。」と言い出した。「は?何ってんの?マジで?」男はそういいながらもナイフを手にした。周りにいる人達はやめたほうが良いと止めに入ったが、「こうでもしなきゃ君たちは信じてくれないだろう。」と人らしきものは言った。「じゃあ、ちょっとだけ。」男は少し迷ったが、人らしきものの手のひらを少しだけ傷つけた。すると傷口から出てきたのは赤い血ではなく、青い血だった。「うわあ!」男は手に持っていたナイフを床に投げつけた。 「何?どうしたの?」近くにいた中年女性が男性の近くに駆け寄り、人らしきものの手のひらを見て驚いた。「血が・・・血が・・・!その言葉に反応して他にお人も近づいてきた。「うわぁ…何だコレ?」「マジかよ。コイツ人間じゃない。」と驚きを隠しきれない人々がいる中で「いや・・・。手品かなんかだろう。手の中に何か仕掛けがあるんだろう。」と男が言った。「じゃあ、これはどう説明するのよ?」窓のほうを指さした窓の外は砂嵐がやんで瑞草の様子が見えてきた。するとそこには・・・。

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