セールスが持ち運んでいく、黒い箱を (書類の、その他筆記具を含む)

郊外 足元から汚れ、有機性がない、夜の香りが立ち上っている

光は注いでいて、無限に (実質的に無限と見なせる)

子供は気の向くまま、奥にある宝をくすぐるが、手が短くて届かない (来年も現在の事だとすれば、手が長くても同様)

ボックスカー (どれも箱型をしているのに)

話によれば、誰の家の物も利用できると言う (当然、相手の考え違いであって)

三角錐の骨格のような石 (海ではなく川沿いにある)

都会が内に残す自然は、大きな意味では庭である (しかし人間が自然と呼び慣らわす時、自然の枠組みに人間を含まないのは、自然の側に許容されて成り立つものである)

何か言葉を発するたびに、無言だった領域が切り崩されてはいく (なんと取り返しがつく物ではない、しかし、どうせ取り返しがつく物ではない)

風が強く、そうすると回る (背の高い、または危なっかしく落ちない物も)

飲み物を買う (損得は充足に敵わないことを覚えた人が)

四角く青く広げている (とっくに桜は終わった)

鳥たちは話す (言葉という、持ち物を知って使い道を知らない、だから物に教えを乞う)


白い、白すぎるから ひとり手を繋いで、夜が来るのを願う、夜が来るのを願う



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る