韻文 はとの国
霧建てる塔 竜骨を摩す
煉瓦・重畳・けぶる頂には
池をぐるりなマンジュシャガ
ぬくい庭 ゴーレム・ブロスは愛で
渡り鳥の落とし物を摘む
悪魔太閤は目をしばたかせ
錆びた遺伝子の螺旋を巡る
雪のように紡ぐ蚕に・みなそこよりも淑やかな蜘蛛に
意匠児たちが胞衣を贈り
追ってお座敷で千歳飴を回す運び
風がいとけなくいとけなく
大時計台をネジ巻いた
千本首のおばけ煙突 はだかランプの点灯夫
煤を払いつ夜よじ登る 空へ迂回の尾を引こう
三角巾に仕事着はたき
夭逝郷に振る舞うかおりは
バターキッチュの焼き上がり
生誕パーチー 匂わせます
ゴーグル下げて見晴らす天頂
彗星軌道上飛行街道
異次元情緒に太子が眠る
ここはてっぺん 今だけは
番外地 飛び地・一等地
つるべは軋む 交信記録
萌ゆる議題や葉桜色
生物係の田中さん 保健委員の太郎くん
掲示係の山田くん 飛び級委員の花子さん
監視員の鈴木 清掃員のポチ
まなびば・まほろば 波風なく
おどろな事件は窓の外
けど転校生が来やる毎に 詰めた名簿は誰じゃろな
運動会や学芸会本番を もう何年来待ったやら
放課後が恋しくなった生徒は
スポイトが吸って卒業した
爛々赤い 廃工場開園
鉄の茨にサイレンがなる
宇宙妖怪を取っ捕まえて
偏屈科学者に売り付けよう
ガリ勉くんは寸刻み
構ってちゃんはベアハッグで
決まりきった静けさが充満
じきタカビーが水銀に落ち
あとはツッパリがぺちゃんこにのされる
この夜は何周目だ?
辿り着いた資料室には
原版の僕ら ゲームオーバー
階層を上に下に
小坊主や牧童が 夜な夜な切符の用命に従事
空気は模され太陽が焚かれ
土壌が蓄え培地は栄え
頁は進み畜は懐き
されど御心は日に日におぼろ
成果のみぞ けいじのかみへ召さるる
ふとベルで・一斉に明くる本物の朝に
バルコニーで
仰いでも俯いても 無節操に軒は連ねられ
眩む頭ソファーにトス
それきり電池の底を尽き
カゲロウは眠りに落ちぬ
麓には蟻の巣窟
地下鉄を継いでぶかぶかな外套
幽霊文字と鼻歌と
バンド・デシネ・バンドネオン
三文探偵はゆうべまで元気で
けさは壁に塗り込められて元気
午後は古代魚の骨が泳ぐでしょう
お上りさんがた濡れ鼠
しょぼくれないでよ伝染るから
輪生邏卒の房の下
ブラックサンタ・ハーメルンおじちゃんが
人口流入を促進中ブギ
更正罪投与・したっていたちごっこ
バーボンボンボンだけが友だちさ!
水兵さんの満艦飾 無人島を秘するべく
ポンポン機関が鬨を吹き
デモニストのデモのよな
スクトゥムのスクラムで
機甲戦奴・不孝上等
砲声止めばモノノフヘルム
汀のスペクトラムに洗われて
ワニやイッカクの爪痕も明ら
陸に残した水の子ら
リバーサイノで喪に服す
アリストテレスの提灯に
滴り入れた火・流し雛
捧げる事ができるだけ
シラヌイカナエはここだから
ウォーターベッド・カプセルホテル
頽廃芸術コンクール
コンパニオンのお出迎えバス
ハイコンテクスチュア藪分けて
休まいの中空軒に
常設展示 藻屑・鉄
天然ミルクのおかわり自由
あとは底いまで揺りながら流す
ブラーブラーブラ・フッテージ
ブックマーク・錨を下ろしたなら
またお会いできる日を心待ちにしております
今私は 埃かむった
白地図を漁り 出しては読むのだ
通い路をなぞり 確か
あな彼処へは地脈を八岐裏返して
七つの渦潮ざんぶり浴びて
星六条をかんざしに留め
甥か姪かを釣らねば着かぬ
大冒険の難儀の末に
行けるや否やで無くては成らぬ
伝記迷宮へ堀を越え
伝記迷宮へ石垣を越え
伝記迷宮へ包囲網を越え
千一の不夜に物語られし長々い城の数を越え
とても簡単ななぞなぞを悩みに
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