五人の剣士と五つの居場所

青キング

歩の世界

俺はパニクっていた。

何もない暗闇の空間。

「あなたに最高の修業をさせてあげます」

頭上から若い女性の声が。

見上げてみても何もない。

突然、強烈な光が俺を覆い、謎の空間を明るく照らす。

何かが降りてきた。

神々しい輝きをまといながら天使らしき女性がゆっくりと降りてきている。

やっとのことで着地、と思いきや勢い良く前にずっこける。

「大丈夫すか?」

思わず尋ねてしまう。

「今からゲートの準備しますね」

人の質問には答えず、何かの詠唱を始める。

「でましたゲート」

「そうっすね」

適当にあしらってみると、少し不機嫌にそっぽを向く。

「なんですかその態度はこっちは仕方なくやってあげていると言うのに!」

そっぽを向いたときに彼女の胸が少し揺れたような錯覚を感じ、胸元を見てみる。

錯覚ではなく。本当に大きい。

「何じっーと人の胸元を見てるんですか」

「えっ?」

「とぼけても無駄です」

「すいません」

軽く頭を下げると微笑んでくる。

「まぁでもあと少しであなたとはおさらばですし構いません」

微笑みではないような気がしてきた。

「あのゲートを通過すればいいだけです」

「どこにいくかくらい説明しろよ」

彼女はひとつ大きくため息をつき、「めんどくさいですねー」と呟く。

美貌がもったいない。

「とにかくあちらの世界で過ごせばいいだけですから」

俺の背後に回ってきた。

「どわ!」

ものすごいスピードで体が宙を浮いたまま前進し始める。

「やめてくださ・・・・・・」

すべて言いきる前に光るートに飛ばされてしまった。

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