第402話偶には朝食を作ります!

「くあ~・・・良く寝た・・・」


のっそりと起き上がると、日が昇っているのが見える。

あの後即寝して、翌朝まで寝ていた様だ。

あー、頭痛い。寝不足取り戻すために思いっ切り寝たけど、寝すぎて頭が重たい。


頭をぽりぽりかきながら、周囲を見回す。

両隣にはイナイとシガルが居る。二人とも起きる気配は無い。

クロトとハクもそれぞれ寝てる。

珍しく一番最初に起きたらしい。なら朝食でも作っておこう。

俺朝はたいてい後だから、朝食作る機会少ないのよね・・・。


皆を起こさないように、ゆっくりと台所に向かい、静かに道具を用意する。

冷蔵庫には何が入ってたかなー。卵が有るし卵焼きでも作ろ。

後、作り置きの出汁が有るし、スープも作っとくか。塩漬け肉入れればそれなりになるだろ。

そういえば味噌汁飲みたいなぁ。大型の市場でも見た覚えがないから、飲みたきゃ作るしか無いんだろうな。

作り方全くわからないけど。豆と・・豆と・・・なんだっけ。あーでも豆だけで作る味噌も有ったっけ?

まあいいや、とりあえず作ろ。


先ずは鶏ガラと野菜を煮込んで作った出汁に、ミンチやら卵白やら香草やら野菜やらを突っ込んで煮込んで塩と胡椒で味付けした、うろ覚えコンソメっぽい何かを鍋に入れて火にかける。

これ意外とうまく作れて満足している。イナイも褒めてくれた。


次に玉ねぎによく似た野菜の皮をむき、半分に切ってからスライスしていく。

これ玉ねぎっぽいけど玉ねぎじゃないから楽だ。目がしみない。

スライスし終わったらフライパンで軽く炒めてから鍋に移す。

鍋が煮立つ前に塩漬け肉を取り出して、少量を小さめのサイズに刻んで鍋に入れる。

後は弱火で放置。次卵焼き。


卵焼きには魚の干物からとった出汁に、少しばかり塩と醤油を混ぜる。まあこれ、醤油っていうか、醤って感じだけど。

その後は白身を切るように混ぜて、フライパンに卵を少しずつかぶせて丸めていく。

四角いフライパンは無いので、オムレツ状だ。

普通なら砂糖を入れるんだろうけど、俺の好みです。

焼きあがったら適当に切って皿にのせて、とりあえず横に置いておく。


スープもいい感じになったようなので、鍋敷きを用意して、鍋ごと持って行く。

テーブルに鍋を置いて、卵焼きも置くと、クロトが目を覚ました。


「・・・お父さん、おはよう」

「ん、おはよう」


クロトは目をこすりながらベッドから降りて、こっちにトテトテ歩いて来る。

傍まで来たのでとりあえず頭を撫でると、目を細めて嬉しそうな顔になった。


「朝食いる?」

「・・・うん」

「じゃあパンも用意するから、スープ先に飲んでな」


鍋からスープを器に移し、スープとフォークもクロトの前に置く。

クロトが一口飲んで小さく美味しいと呟いたのを聞いて、満足して台所に戻る。

パンは今から焼くわけじゃ無くて、元々買っておいたのをフライパンで少しあっためるだけだ。

美味しいふっくらパンの類じゃ無く、練って焼いただけの奴だ。パンと言うか、ナンに近い。

それも焼きあがった頃に、どうやらみんな起きてきた様だ。

パンを持って行って朝の挨拶を皆にかける。


「おはよう、イナイ、シガル」


よく見たらハクはまだ寝てたわ。


「おはよう、タロウ」

「・・・おはよう・・・んー・・・・」


イナイははっきり起きてるけど、シガルはまだ寝てるな。

でもねてるっていうと、起きてるって言うんだよなこの子。


「タロウ、体は平気か?」

「ん、平気平気。単に寝不足だっただけだし」

「そうか、昨日一日起きなかったから少しだけ心配したぞ。シガルもな」

「あー、ごめん、あんまり眠くて。でも翌朝に起きた程度だし、少し寝坊したぐらいの時間じゃない?」

「違う。お前、昨日丸一日寝てたんだよ。お前が寝たのは二日前だ」

「え」


えーっと、つまり、一回も目を覚まさなかったと。どんだけ眠かったんだ俺。

ていうか寝すぎだろ、いくら何でも。疲労も有ったのかな・・・。


「ごめんね、心配させて。大丈夫だから」

「みたいだな」


イナイは俺の頬を触って、安心したように言う。どうやら本気で心配させていた様だ。

起こしてくれてもよかったんだけどなぁ。


「まあ、あたしも食うから、パンくれるか」

「ん、どうぞ」


イナイがテーブルに着いたのでパンを渡し、俺もテーブルに着く。

スープと卵焼きは、どちらも好みの味に仕上がっていた。

まあ、スープは事前に作ってるような物だしな。


「・・おいひい・・・」


とりあえずシガルさん、寝ながら食うのは止めた方が良いと思うんだ。

食事は起きよう?

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