第376話2度目の結婚式です!
「我らの命を紡ぎ、育んだ方々にお伝え致します。フォロブルベ・ファウムフ・ウムルはリファインを妻とし、添い遂げることを誓います」
「同じくお伝えいたしますリファイン・ボウドル・ウィネス・ドリエネズはフォロブルベを夫とし、添い遂げる事を誓います」
玉座の間で、良く通る声が響く。ブルベさんとリンさんが玉座に向かい、膝をついてお互いの想いをご先祖様に告げる。
今玉座には、先代王妃様の肖像画が置いてある。つまり、ブルベさんの母親だ。
どうやら王族に限っては、墓場ではなく、こうやって玉座に過去の王や王妃の肖像画を起き、それに報告するらしい。
ただ王族所縁の墓には、後でこっそりと行くつもりなのだと、イナイから聞いた。
中央の通路を空けるように並びながら、大勢の人間がそれを見つめる。今ここに居る人間は、殆どが貴族王族らしい。ワタシ場違イジャナイノカシラ。
しかし凄い人数だ。玉座の間が広いから問題ないけど、下手な結婚式場とかだったら入りきらないな、こんなの。
俺は端っことはいえ最前列にいるから見えるけど、後ろの人は見にくそうだなぁ。
俺みたいに身長低いと何も見えないんじゃなかろうか。
しかし、ブルベさんカッコいいな。流石王様って感じがする。
俺なら完全に浮きそうな格好が、めっちゃ様になってる。身長高いって良いな!
リンさんも普段を知っていると、誰だあれって言いたくなるぐらい綺麗だ。
いや元々美人だけどさ、あの人。
前に見たのとは違うけど、赤い髪が映える真っ白なドレスを着て、とても貴族らしい雰囲気を醸し出してる。
ブルベさんもそれに合わせているのか、白で纏まっている。
暫くして二人が立ち上がり、手を取り合って玉座の右側に移動した。
二人がこちらを向くと、その反対側に立っていたセルエスさんと、その旦那さんになる男性が玉座の前に跪く。
金髪の優しげな雰囲気の男性だ。あの人がセルエスさんの旦那さんかー。
しかし凄いな。ブルベさん達とは対照的に、全身黒ずくめなんだがあの二人。
まあ、セルエスさんは銀髪だし、映えるっちゃ映える。
「お伝えいたしますオルラッド・ゼネス・カウランは、セルエスを妻とし、添い遂げる事を誓います」
「お伝え致します。セルエス・ファウ・グラウギネブ・ウムルはオルラッドを夫とし、添い遂げる事を誓います」
ブルベさん達と同じように、玉座にある肖像画に伝える二人。
言い切ると、やはり同じように手を取り、先ほどいた位置に戻る。
4人が前を向いたのを合図に、両端に立っていたウッブルネさんとアルネさんが剣を水平に構える。
アルネさんの持ってる大剣、クッソデカいんだが。なんだあれ。
「汝等が誓い、先代王より聖騎士を命名されし、ウームロウ・ボウドル・ウッブルネと!」
「同じく、先代から鍛冶師筆頭を命名されし、アルネ・イギフォネア・ボロードルが見届けた!」
凄まじい声量の野太い声が、玉座の間全体に響き渡る。
なんつー声量だよ。間違いなく端まで届くな、今のは。
その声が消え去ると、ブルベさん達はお互いにパートナの手を取り合いながら、中央の通路を歩き始める。
そこで誰からともなく歓声と拍手が起こり、どんどん広がっていく。
その中を堂々と胸を張って歩いて行く4人。最前列だから歩き出すのは見えてたけど、中に入っていくともう見えない。
身長が低いのが恨めしい。
「この後、下のホールに移動だっけ」
「おう。んで、後で飛行船だな」
要は披露宴的な物を一階でやって、二次会を飛行船って感じかね。
あと、外は数日お祭り騒ぎらしい。時間が有ればちょっと見に行きたい。
因みにブルベさん達はこの後、車に乗って街を回るらしい。
俺達はその間にホールに行って、立食という感じだ。
んで、主役が戻ってきたら王族方が個々に祝辞を述べに行く。
4人とも休む時間が無いのが大変そう。リンさん耐えられるのかなぁ?
長時間はきついって言ってたのに、大丈夫かね。ミルカさんが嫌がったのが良く解る。
なんて考えていると、ばたんと扉が閉じる音が聞こえる。事前に決められた、4人が通り過ぎたという合図だ。
見えないからねー。
すると拍手が徐々に無くなっていき、代わりに雑談の声が大きくなっていく。
なんつーか、人数が多いからスゲーな。
暫くして、閉じられた扉が開かれ、人が動く気配を感じる。
俺達は一番最後に移動だ。近しい者ほど、後に移動らしい。
「リファイン様もセルエス殿下も、綺麗だったね!」
「だねぇ」
シガルが興奮している。シガルもやっぱり、ああいうのに憧れるんだろうか。
憧れるんだろうなぁ。ものすごくキラキラした目してるし。
「まあ、ああやって見ちまうと、良いなぁって思うよな」
「だよね!」
イナイさんとシガルさんが意気投合してらっしゃる。
やっぱり、恋人とかじゃなくて、ちゃんと結婚したほうが良いのかな。
二人を放す気は一切ないんだけどな。
「ああ、気にすんな。別にまだいいよ」
「あ、うん、あたしももうちょっと大きくなってからがいい!」
考えを見透かされたように二人にフォローされた。
シガルは思いっきり本心みたいだけど、イナイは気を遣ってるんじゃないのかな・・・。
まあ、二人がこう言ってる以上、あんまり気にしない方が良いのかな。
『まだ動かないの?』
ハクがじっと待つのが退屈になったのか、イナイに聞いてくる。
でも、全然はける様子は無いし、まだまだ無理っぽいと思うな。
「わりいな、もう少し待ってくれ」
『ん、わかった』
ハクは意外と素直頷く。もうちょっとごねるかなと思った。
実際、何時になったら動けるのかわかんないなぁこれ。
「そういえば、ミルカさんとか、アロネスさんとかは何処にいるんだろ」
式が始まってから、あの二人は見かけてない。ついでに言えば、グルドさんも見かけてない。
というか、グルドさんは来ているのだろうか。
「あいつらは護衛だよ。ブルベ達には問題ねーと思うが、一応な」
「あー、なるほど」
そっかそっか、護衛か。
王様がいくら強くても、街に出るなら護衛つけるし、強い人付けるよね。
でもそれなら、ウッブルネさんがついて行かないのは何でだろう。
「普通、ウッブルネさんが行くんじゃないの?」
「こっちで面倒事が起きた時が大変だからな。ブルベをミルカとアロネスの二人に任せて、ロウはもっと面倒な方を任されてんだよ」
あー、そっか、こっちの方が大変なのか。
確かに言われてみればそうだよな。こんな大量の王族貴族とか、面倒に間違いない。
その後、大分待ってから、俺達も移動できるようになった。
かなり待たされたなぁ。それだけ人が多いって事だろうな。
宴会大丈夫なのかね。酒入るとトラブル起きそうなんだが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます