第73話二人はとんでもないことを相談していたようです!
ほとんど眠れませんでした。
何でかって?二人が俺を挟んで寝てたからです。
てっきり俺は別の部屋があるものと思っていたら3人で寝るらしかったんですよ。
んで、着替えをしようとしたときにとりあえず一旦出てようとしたら二人ともそこに居ろって言う訳ですよ。
もちろん反対むいてましたが、俺も男の子なわけですよ。女性二人が同じ部屋で着替えてる衣擦れの音でもうね、うん。
その上俺は床で寝るねっていったら絶対ベッドで寝ろって言うんですよ二人とも。
いや、うん、片方は小さい女の子ですよ。わかってますよ。
でもね、寝てると二人ともくっついてくるんですよ。
やわらかいやら、良いにおいやらでもうね。無理です。寝れません。
そんな感じでほとんど寝れず、気がついたら朝でした。
コレは何かの試練なのだろうか・・・・。
竜達のところでは野宿に近い感じで、ハクや他の竜にくっついて寝てたからそんなにきにならなかったけど、コレは無理だわ。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「・・ウン・・・ダイジョウブ」
「目が死んでるな。ふあ~」
イナイ、前はあんなに緊張してたのに、もう俺のそばで寝るの慣れちゃったのか。
俺は慣れない。イナイが腕に抱きついてきたときとか、色々と不味かった。
何が不味かったかは男の子ならわかるはず。
シガルも足絡みついてくるし逃げられなかった。
「俺、次からは別室用意してもらうんだ・・・・」
「えー、やだよ、一緒に寝ようよー」
「せめてベッドを別にしてください・・・!」
でないとなけなしの理性が吹き飛びそうです!
コレでも健康な男の子なんですよ!
「無駄な抵抗しないで素直になればいいんじゃないか?」
え?と、思わずイナイの顔を見る。
あ、真っ赤だ。
えーと、コレはそういうことですか?
いやでもまって、イナイがよくてもシガルがそばにいたらダメでしょう?
「私も別にいいよ?」
は?
え、ちょ、なんて?
「旅についてくって決めた時から、そういう事もあるかなって思ってたし。大丈夫だよ?」
「ちょっとまった。シガル、自分が何にいってるかわかってるの?」
「わかってるよ。教養学では正確な子供の作り方とかも学ぶもん。男性との行為も。それに他国とかだと、わたしの年齢は別に珍しい事も無いよ?
ウムルはのんびりな人が多いからか20代過ぎてからって人多いけど」
昨日ちゃんと事情を話したからか、他国と自国の状況も込みで教えてくれる。
まって、でも倫理的にどうなの。
いや、この場合この世界ではOKなのか。
いやまって、まってまって。パニックになってきた。
そもそもする前提ではなしが進んでるのはいかがなものですか。
ていうかイナイよりシガルのほうがストレートすぎてびっくりした。
俺が完全にパニック状態になっていると、コンコンとノックの音がした。
どうぞ、とイナイがいうと、昨日の爺さんが入ってくる。
「ステル様方、おはようございます。朝食はいかがされますか?もしよければ領主様がご一緒お願いしたいとの事なのですが」
「はい、是非。ありがとうございます」
「では、ご用意が済みましたら、案内をよこしますので、少々お待ちください」
「はい、ゆっくり待たせていただきます」
爺さんは出る前に一礼をして出て行った。
「で、お兄ちゃんはどうしたいの?」
爺さんが居なくなるとにっこり笑顔で聞いてくるシガル。
うん、ちょっと待とう。なんなのその強気加減。て言うかこの話続くの?
「タロウ、シガルとは少し前に二人で話してる。お前がその気なら、私達はいいぞ」
何二人で話し合ってるの!?
いや絶対おかしいって、イナイめっちゃ真っ赤な上に目が泳いでんじゃんか!
そもそもこれ、朝から話す内容じゃないよね!?
「ちょっと落ち着こう、ね?」
「あわててるのはお兄ちゃんだと思うけどな」
クスクス笑いながらいうシガルの言葉は間違いないけど、そりゃ慌てるよ。
「ごめんね、問い詰めるような感じになっちゃったね。でも知っておいて。私達はちゃんとその覚悟があるって」
「ん、覚悟はきめた」
すごい優しい笑顔のシガルと顔真っ赤なイナイ。
どっちが年上かわからんなこれ。
「・・・ちゃんと考えとくよ」
今の俺にはそう答えるのが精一杯です!
許して!
シガルはそんな俺をクスクス笑い、イナイはちょっとだけほっとしてる感じだった。
シガルがこういうことに積極的だとは思わなかった・・・。
あのあとそこまで時間もたたず、案内の人がやってきた。
俺達は3人ともついていき、領主さんとの朝食につく。
ハクは寝てるから置いてきた。
「おはようござ・・あの、タロウ、さん。大丈夫ですか?なんだかふらふらしてるような」
「あ、気にしないでください。大丈夫です」
というか、お願いします詳しく聞かないでください。
めっちゃ眠いけど、動けないほどではない。
今日はすぐ寝よう
「ステル様、今後のご予定は決まっているのですか?」
「いえ、特に決まってはいません」
「そうですか。王都にいかれた際は、是非国王陛下にご会い下さい。きっと陛下も歓迎されると思います」
「ええ、行く機会があり、ご迷惑でなければ」
今の間違いなく、めんどくさいからやだなって副音声が入ってた。
俺も出来ればそれはご勘弁願いたい。
「そうだ、タロウさん」
ん、俺?なんだろ
「はい、なんですか?」
「タロウさんは先日組合に登録されましたよね?
竜を倒す実力をお持ちなんです、私が話を通して階級を上げる事も出来ますが、どうでしょう?」
ああ、なるほど。でもそれはつまらないな。
どうせならちゃんとやって、階級を上げたい。
それにシガルと一緒に登録したんだから、二人でやるのもいいと思うし、俺一人上がるのもどうかな。
それに貴族の人にあげてもらうって、なんか、後が怖い。
「いえ、結構です」
「え、な、なぜですか?階級が上のほうが色々と便利ですよ?」
断られるとは思ってなかったのか、領主さんは少し慌ててる。
「かも知れませんが、ちゃんと自身の力でやってみたいんです。それにシガルと一緒に登録しましたので、彼女と一緒にのんびりやっていこうと思ってますし」
「お兄ちゃん・・・・」
うれしそうにこちらを見るシガル。
なんか、さっきの事があったせいか、少し潤んだ瞳にドキッとする。
「で、ですが・・・い、いえ、すみません。余計なことを言いましたね」
「いえ、お気遣いありがとうございます」
きっとこっちのためを思って言った事だったと思うから、断ったのは少し申し訳ない。
けど、コレは断らないとね。
実力で手に入れたわけじゃない階級じゃ、あとあとどんなミスにつながるかわかんないし。
「タロウさんとシガルさんは、これからの予定はあるのですか?」
「一応折角組合証作りましたし、のんびり何かやってみてから移動しようかなとは思ってますが」
「そうですか!ではしばらくこの街に留まられるのですね。では是非その間はこの邸をお使いください」
うーん、それはちょっと遠慮したい。
肩が凝るし、緊張するし、宿にも泊まってみたいし。
「折角の申し出ですがご遠慮いたします。私どもは宿に泊まるのも旅の醍醐味と思っておりますので、よければよい宿を教えていただけると嬉しく思います」
「そ、そうですか、わかりました。部下に言って、良いところへ案内させましょう」
「いえ、場所さえ教えていただければ結構ですよ」
にっこりと優しく、でも確かな拒絶。
昨日の話を聞いた後だから分かる。
これ以上過干渉してくるな。そういう意味がこめられてるなコレ。
100%善意の申し出ならイナイも少し態度が違うんだろうけど、そうじゃないらしいからなぁ。
その後(俺には)他愛の無い話が続いた後、邸を出ることになった。
とりあえずの予定は街を散策して、そのあとまだ時間があれば組合に行って依頼を見に行ってみる。
もしもう日が落ちれてばオススメされた宿に行く、という感じになった。
「ではイナイ様、お気をつけて」
「ええ、お世話になりました」
イナイが頭を下げるた後に俺とシガルも続く。
ハクはまだ寝ているので俺が持ってる。コイツ結構重いから起きてほしい。
「竜神様にもくれぐれもよろしくお伝えください!」
最後にそう叫んだあたり、竜を思う気持ちは本物っぽい。
さて、やっと自由に行動できるな。
まずはなにすっかねー。
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