バンガイヘン
第7話 雪の勇気
「ねぇ!○○君ってこっちゃんの事好きなんでしょ!」
学校近くの公園で、何人かの子供が遊んでいる。いくつかの子供の集団がその場を占領しているかの如く、大人の姿は見えないでいた。
そんな中で、女子2人と男子2人のグループがあった。そのうちの一人がそう言った。
「は、はぁ!ナニイッテンダシ、べ、別に俺は冨永の事なんか……」
雪は○○君に、純粋な目を向けていた。雪は、単純に好奇心で行動していたのだ。
そして後ろには、キョトンとした小福が、「なんの話してるの?」。とこちらを眺めてる。事情を知られたくなかったのか、○○君は顔を真っ赤にしている。年端もいかない少年の、淡い恋心が暴かれてしまったのだ。
「あぁ、もう姫新シネ!俺は帰る!」
ズケズケと男子は公園を去っていった。雪の目には、自分に対する怒りのオーラが、○○君から流れてくるのを感じた。さっきまで、小福への好きというオーラがあったのに。何故こんなことになってしまったのか、雪には理解出来ない。
「え!? ねぇなんで!!? 私なんかしたかなぁ。ねぇ、……ぇえーーん!おこんないでよおおお〜〜」
遂に雪は泣き出してしまった。相手の事を思ってした行動が、何故か相手を怒らせてしまった。そんな雪を、拓人は優しくさすった。
目は、使いようによっては、良くも悪くも働く。いつしか雪は目を制御出来るようになっていた。
○○君は、既に違う街に越していて、今は会う事は出来ない。心残りではあった。が、あの時の自分を謝れる勇気は、しっかりと胸の内に佇んでいる。
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