第1話-⑤
その時。心地よくて、だけど少し肌寒い気もする、そんなそよ風が吹いた。カーテンを風が揺らしている。それが、なぜだか、少し懐かしくも感じられた。
「あのさ、馬上さん。あそこでほおずえついて外みてるあの女の子、誰?」
「もー!ハル、で呼んでよぉ!
で、あそこ?え?あの角のとこ?誰もいないけど?てか席自体ねーし。
あんた疲れてんじゃない?ま、転校初日なんだから当たり前か。あたしもゴールデンウィークなんかずっと部活の練習ばっかでほんと全然休めなかったの!もー最悪、全然ゴールデンじゃなかったよ!」
「誰も、いない?ほらあそこ…。あれ?ほんとだ、誰もいない…。」
いや、確かにさっきはいたんだ。寂しそうな顔で、ほおずえついて外をみてる、美しい黒髪の下の方に印象的な赤い結い紐を結わえた美少女が。やっぱりハルさんの言う通り、疲れているだけなのか。今日は早く寝ることにしよう。
「そうだ、そういえばハルさん。今日帰りさ、一緒に帰ろ。誘ってくれてありがとね。」
「あ、帰ってくれるの??いや~あの辺から通ってる人いなくてさー、寂しかったんだよね~。零士くん、ありがとねっ♪」
ハルさんが元気よく、僕の肩を叩いた。
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