第1話-③

怒涛の様に時間は過ぎてって、いよいよ新しい学校への初登校日となった。

胃が痛い。おばあさんに作ってもらった朝食もろくに喉を通らなかった。


「いってらっしゃい」


優しいおばあさんの声に背中を押されて、家を出た。




道をまだ覚えていなかったが、なんとか学校にはたどり着けた。到着するなり、職員室に通された。

「こんにちは、私が担任の松木戸悠太マツキドユウタです。よろしく。」


「こちらこそよろしくお願いします。」


「実は、君のお父さんとは縁があってね。僕はこの高校に勤めて今年で31年目なんだけど、昔、白沢君のお父さんの担任を2年間受け持っていたことがあるんだ。

彼はあまり勉強はよくできたとは言えないんだけど、いい子でね…。惜しい人を亡くした……。」


「へぇ、そうだったんですか」


キーンコーンカーンコーン…


「とっとっと、話していたらこんな時間か。また今度色々話そう。説明しなきゃいけないこともあるからね。じゃあ君のクラスに案内するよ。ついてきて。」


カンカンカンカンカンカン…。階段を上って行く。一歩一歩が重く感じる。やはり緊張するなぁ。手に汗握るよ。ほんと。

ガラガラ! きりーつ、きをつけ、礼!


「おはよーございまーす!!」


「はい、おはよう。 ゴールデンウィーク明けて、みんな久しぶりの学校な訳だが、嬉しいお知らせです。転校生が1人来ました。それじゃ、白沢君、入ってきなさい。」


ザワザワ……。


「え、ちょっとイケメンじゃない?」


「そう?なんか体の線細くない?」


「確かにー!言われてみてば」


「お前の隣、席空いてるじゃん、セオッち!やったじゃ~~ん」


パンパンパン!


「はいはい、みんな静かにー! じゃ、自己紹介どうぞ。」


「えーと、白沢零士っていいます。ちょっと家の事情でこんな微妙な時期に転校してきました。これから約2年間、よろしくお願いします。」ペコリ。


パチパチパチパチパチパチパチパチ…


「じゃあ白沢君はそこの空いてる席に着いてくれ。」


よし。なんとか乗り切ったぞ。第一関門クリアってとこかな?


「ウィース!俺、瀬尾達哉セオタツヤってんだ。これからシクヨロなっ!」バフッ!バフッ!



うわ、第二関門ーーーー!なんかこういう奴苦手なんだよな……。なんか髪ツンツンだし、金髪メッシュ入ってるし。はぁ…なんだか幸先不安だ。

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