ゲームとyoutubeから考えるweb小説の今後
愚か者は経験に学び、賢者は歴史から学ぶそうです。
ゲーマーは当然ゲームから学びます。
MTGの歴史から今後のコンテンツのあり方を個人的に語りたいと思います。
ただ書いている途中で
ケヴィン・アロッカ 「バイラルビデオが生まれるメカニズム」
https://www.ted.com/talks/kevin_allocca_why_videos_go_viral?language=ja
のビデオを読むだけで自分の言いたい事の9割は言えている事に気付きました。
あげくにこちらの方が楽しいでしょう。
それでも3秒以上待ってくおつきあいしてくれる優しい人は続きを読んで欲しいと思います。
このエッセイに関して私は何度もMTGのコラムを引用しています。
理由は二つ、私がMTG大好き人間だから
もう一つはMTGがインターネットの登場によって姿を変えたコンテンツであり、未だにプレイヤー数を増やし続けるコンテンツであり、その為に深い企業戦略をユーザーに惜しげも無く呈示しているゲームだからです。
MTGのコラムは多岐にわたります。
MTGのストーリーは当然として、開発秘話、なぜこの商品は失敗したかの分析。ユーザーの分類分け。現在流行のデッキとその対策、等々 MTGの現状を知りたければMTGの公式サイトを見るだけで大半の事は理解出来ます。
そしてユーザーを逃さないようにするためには、そして新しいユーザーの獲得方法についてもコラムとして掲載しています。
MTGなどやらなくても生きていけます。人生においてMTGをしなければいけない理由など一つもありません。衣類や食事と違って必要では無いのです。全くもって不要だし、金の浪費でしかありません。
ただしこれには例外があります。
MTGの開発者達にとってはMTGをプレイして貰わないと困ります。
彼らにはMTGをプレイして貰ってMTGをすることが楽しくてしょうが無くて、毎日MTGしたいと思わせる熱狂的なプレーヤーを増やさなくていけません。
最初MTGはインターネットの存在しない時代1993年に生まれました。
当初プレイヤーがMTGに出す金額は多くて20~30ドル程度だろうと想定して販売されていました。
20ドルです。
ある意味で言えばソーシャルゲームのガチャガチャを生み出した張本人がこんな低姿勢だったのは驚くべき事でしょう。
11連ガチャなんて引けない金額が目標だったのですから。
MTGは発売当初から大人気でしたが、とある問題にぶつかります。
インターネットの登場です。
その為にMTGは方向性を派手に変える必要がありました。
当初のMTGはゲームサークル内で友人達と遊ばれる事を想定していました。その為ゲーム名が マジック ザ ギャザリング (魔法の集会)になっています。
友人同士でカードを持ち寄ってデッキを作り、欲しいカードをトレードし、パックを開けて、知らないカードを発見していく。
それが当初想定されていたMTGの遊び方でした。
しかしインターネットの登場によってそれらは一変します。
プレイヤー達は全てのカードを発売日に知って、すぐに強力なデッキを知り、そのカードを購入していきます。しかし来週にはより強力なデッキが登場している。
そう言った想定外の状況になってしまいました。
その為MTGは本来想定していた遊び方からインターネット前提の遊びに変わっていきました。
発売前から少しずつカードを発表していき、それらをtwitterや掲示板などでプレイヤー同士で話し合う。
ユーザーから直接意見を募り、開発者がそれに直接コメントをする。
公式サイト自らが攻略記事を執筆し、ユーザーにデッキを作る事を推奨する。
中にはユーザーに条件を課してデッキを募集したりします。(私の公式がお題を毎週出す発想の大本はこれです)
現状のMTGはもっともインターネットに最適化されたコンテンツの一つだと思っています。
プレイヤー達は面白かったゲーム状況をtwitterやフェイスブックにあげて、それらを共有しています。
プロプレイヤー達のゲーム動画もyoutubeに行けばすぐに見に行けます。
一部のプロプレイヤーは実況プレイまでしています。
カードの強さについて自ら一枚一枚分析するプレイヤーもいます。当然それに反論するプレイヤーもおり、常にカードの強さは議論され続けています。(つまりいつもカードについて語られています)
ストーリーの考察や、そこから派生したジョーク、好きなイラストについてなど、MTGプレイヤー達は思いのままに情報を発信し、その情報からさらに発信したりとゲーム部分以外でゲームを楽しんでいます。
ここが最大のポイントです。
MTGプレイヤーはMTGをしていないときでも、MTGを楽しんでいます。極々一部の世代に解りやすく言えば、学校でドラクエⅢをどれだけやったか語るのを、世界レベルでやっているのがMTGの世界です。
こういった現象は他のゲームでもあるでしょう。
例えば艦隊コレクション(以下艦これ)なんかもこういったゲームに分類されます。
ゲームをしてなくても好きなキャラを語り、イラストやSSが作られ、出てきた艦隊のスクリーンショットを取ってその喜びを分かち合います。
私が言いたいのはそう言った拡散性の高いコンテンツが今後のコンテンツにおいて最重要になってくると言う事です。
その点で言えばweb小説は拡散性が低いです。一度小説の感想を語る事はあっても語り続けることは滅多にありません。一話更新して今日は楽しかったねとか今後のストーリー予想が限界でしょう。
それは「SF横浜駅」や「妹、分裂する」も同じです。
たまに私は小説なんてストーリーの骨の部分だけ変えられないようにして他はwiki形式で常に変動し続けた方が上手くいくのではないかと考えたりします。
そうすると、
俺が見た時はこのキャラ生きてたのに、今見たら死んでるんですけど?
このキャラを殺したのは誰だ?
俺が殺した。
と言うかツンデレキャラのキャラクターが死んでる。デレデレとかあり得ないから俺が治した。
主人公のステがおかしいからさらにおかしくした。
と常に読むタイミングによって変わり続ける動的なコンテンツになるのでは無いかと(実際やったら間違い無く失敗すると思うのでやりませんが)
実際にyoutubeでの流行もその拡散性が鍵を握っているそうです
ケヴィン・アロッカ 「バイラルビデオが生まれるメカニズム」
https://www.ted.com/talks/kevin_allocca_why_videos_go_viral?language=ja
先ほどの紹介でこのビデオを見ずに、このコラムを読んでくれた優しい方々に説明しますと、youtubeで流行るビデオには流行仕掛け人、影響力の高い人間の発言が存在し、さらにそのビデオから派生した作品を作る人がいるおかげで、爆発的な流行が発生するそうです。
web小説でそんな流れはあったでしょうか?
あえて言うならテンプレの流行がその派生作品ととらえることは出来るでしょう。仕掛け人もレビュアーやスコ即2ちゃんねるが役割を果たしてはいます。
しかし一つの小説から多大な派生が何度も出てくるような事はありません。
と言うよりもweb小説はweb小説のコンテンツ内で完結してしまっています。そこから音楽、映像、イラスト、等と言った派生していくことがまずありえません。
根本的にweb小説すらも昔のコンテンツに近い性質です。
今後web小説が活発にしたいと思うのならば他のメディアとの親和性を高めて、流動的に他人の作品を自分の作品のようにできる状態にしないといけないのかも知れません。
まずはボーカロイドの曲から小説を執筆するのが現実的かと思います。
実際に商業レベルで行われていますし、ボカロの曲からイラストを書く人もいます。そのボカロの拡散性の中にweb小説が加わるのはかなり現実的な流れだと思っています。
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