チョコと本命

 頻発した病欠で、シフト変更に社内が苦しんだ一月もようやく終わり、二月、如月。

 今年はうるう年というわけではないから、余計に油断していると何もかもが足早に過ぎ去ってしまう、怖いような四週間の始まりだ。

 しかも、先月に行われたヒアリングも踏まえ、そろそろ人事が異動に関して、本格的に動く頃でもあるので、ちょっとした噂に、しばらくはどの階も戦々恐々とすることになる。

 とはいえ、我が社の規定として、新規採用者については、本人が特に希望しない場合は、同じ所属に少なくとも二年は在籍、その後は適性と希望に応じる、となっている。

 無論、希望はあくまでも希望であり、必ず意向が汲まれる、などという訳はない。だが、配属先の水が合った新採、という立場であれば、とても気楽な時期でもあるわけで。

 「だから、津田がなんかチョーシこいてるんだよねー。なんか浮かれてるっていうの?自分が確実に異動しないからってむかつくー」

 「あ、じゃあ、彼、希望は出さなかったんですね」

 二階の更衣室、三つ隣のロッカーの前で、眉を寄せながら制服のカーディガンを豪快に脱いだ池内さんに、わたしはそう返した。

 「そういうこと。ていうかあいつさー、面談で『先輩も上司も大変良くしてくださって』みたいな超猫かぶりモードだったみたいでさー、むしろ褒め殺し?みたいな」

 見事に裏返ったそれを、顔をしかめたまま無意識に元に戻しながら、不機嫌というか、まるで猫が毛を逆立てているような感じで喋り続けているのに、おそるおそる聞いてみる。

 「もしかして池内さん、異動の可能性とか匂わされたんですか?」

 「それもある。ていうか、あたしもう四階三年目だからさ、支店に動いたところで通勤とか大して支障ないしー、それは別にいいんだけど」

 「……でも、そうなっちゃうと寂しいですよ」

 何気なく混ぜられていた言葉に、思わずわたしはそう零してしまった。

 津田くんの指導役が千穂だったように、わたしの新採時のそれは彼女だったし、色々と気に掛けてくれたり、初めて飲みに連れて行ってもらったり、とても良くしてもらって。

 もちろん、ずっとそのままでいられるなどということはないけれど、でも。

 甘えているようなことを言っちゃったかな、と少し後悔していると、池内さんは綺麗に整えた細い眉をひょい、と上げてみせてから、大きくにっと笑って、

 「んー、一花ちゃんは何気に一撃必殺だよねー、男女問わず」

 「ひ、ひっさつ?ですか?」

 いきなりの物騒な単語に、戸惑いつつも聞き返すと、深々とした頷きが返ってきて、

 「いやー、それだけ裏も表もなしにすぱっと言ってくれるって貴重だもん、有難いなーってさ。腹の読めない人間相手にすんのって地味に疲れるから」

 ほんのりと嬉しいような言葉の後に、さらりと付け加えられた台詞に、少し引っかかるものを感じて、わたしは池内さんの顔を見返した。というのも、その言葉尻に、明らかに誰か特定の相手を指している、というような含みがあったからだ。

 口に出すべきかどうしようか、と迷っていた時、更衣室の扉がこんこん、と叩かれる。すぐに振り向き、どうぞ、と声を掛けると、入ってきたのは千穂だった。

 酷い気管支炎もすっかり治ったけれど、それでも用心のためにマスクは欠かしていない。それを外しつつ、こちらに小さく手を振ってくると、

 「あ、お疲れ様です。一花も池内さんも早かったですね」

 「お、千穂ちゃーん、超タイムリー!」

 「……その笑顔、何か頼みたいことがある時の顔ですよね」

 わたしよりも、彼女と二年付き合いの長い千穂は、満面の笑みを浮かべた池内さんに、苦笑しつつもすかさずそう返した。さすが、などと思っていると、

 「あったりー!ちょっと二人に付き合って貰おうと思ってさー」

 「え?わたしもですか?」

 そう尋ねつつも、この口振りだと、仕事のことではなくプライベート(飲みに行くとか遊びに行くとか)の可能性が高いな、と思っていると、とても意外な台詞が飛んできた。

 「実はさー、あたしチョコ買いに行かなくちゃなんなくなったの」

 「チョコって……」

 「え、もしかしてバレンタイン、ですか?」

 時期的に予想できるとはいえ、わたしと千穂が、やや訝しげにそう聞き返したのには、理由がある。まず池内さん自身に、今は気になる相手も彼氏もいない、と聞いていたこと。

 それと、我が社では、義理も本命も時間外で、お客様の目に留まるなどはもっての外、おねだりくらいはいいが強制と三倍返しは却下、という、緩いのかそうでないのか、よく分からない不文律があるのだ。

 それで概ねどの部も、お互いに懐の痛まない程度の、しかし感じの良い一箱を、ということで、たいてい女子の数名が買い出しに行くことになるのだが、

 「でも、今年は森さんと桜木さんがついでに行ってくれることになったんですよね?」

 一階から四階のフロアは、所属としては販売部ということになる。しかし、フロアごとだと男女比にばらつきがあるので、全フロア分を一括で買いに行くのが通例だ。

 森さんは一階、桜木さんは二階のアルバイトさんだ。二人は同い年で仲が良く、さらに言えば、最近彼氏が出来た同士でもあるので、本命がメインになっちゃいそうですけど、と、楽しそうに引き受けてくれた、はずなのだが。

 「そ、あたし甘いものあんましわかんないし。でも、一個だけ用意しないといけないんだよねー」

 心底面倒、といった感じで言った池内さんに、千穂が目を見開くと、正面から切り込む。

 「誰にですか?」

 「萩原さん。営業部の」

 潔いほどのスピードで、即座に返ってきた答えに、わたしは息を呑んだ。

 確かに、結婚してらっしゃるとは聞いてないし、そういえば指輪もしてなかったような、などと、細かいことが瞬時に脳裏を巡ったけれど、

 「え、あ、あの、いつの間にお二人はお付き合いを」

 「してないしてない。けど、こないだ一緒に呑んでたら、さらっとくれって言われた」

 否定するようにあっさりと手を振りながら放たれた台詞に、どういう経過ですか、とか、色々と聞きたいことがぐるぐるはするものの、わたしも千穂も、とにかく驚きのあまり、言葉を継ぐことも出来なくなってしまって。

 「ま、今年は二人ともあげる相手がいるじゃん?だから、悪いけど頼むわー」

 からからと笑いながら、さりげなく鋭い一撃を加えられて、揃って赤い顔を見合わせてしまった。……やっぱり、池内さん、恐ろしい。



 それから、二月のシフトを三人ですり合わせた結果、結構直前になってしまって。

 職場の近くは絶対に避けよう、ということになって、沿線だけれど隣の市、という位置付けの、ほぼ駅に直結しているデパ地下へと向かうことにしたのだけれど、

 「うっわ、ひっろー。何店舗出てんのこれ」

 「えーと、三十三店舗、だそうです」

 自動ドアをくぐって、広いフロアに入るなり、奥を見晴るかすようにした池内さんに、手のひらサイズのパンフレットを手渡しながら、わたしは言った。

 その横で、同じものを開いて、半ば呆然と見ていた千穂が、ぽつりと呟く。

 「平日で良かった……これ、土日だったら絶対酷いことになってたよ」

 確かに、と思いつつも、わたしもフロアマップをあらためて見直してみた。過去最高の出店数、と謳っているだけのことはあり、全国メジャーなショップから、国内外の有名なショコラティエまで、多種多様過ぎて目が回りそうだ。

 しかも、各店舗ごとに当然ながら、限定商品などの目玉を揃えている訳で。

 「ていうかさー、二人ともどれにするか、ある程度絞ってきた?」

 池内さんにそう尋ねられて、わたしは頷くと、

 「一応、ホームページである程度目星は付けてきました」

 自身の優柔不断さは分かっているし、それにチョコレートはむしろ自分で食べたい、と思ってしまう方だから、あまりふらつかないように、と思ってのことだ。それに、父と、祖父二人にも贈る予定なので、それも選んで帰るつもりで。

 「お、計画的だねーえらーい。千穂ちゃんは……割とマジで声掛けない方がいい?」

 「……何がなんだかわかんなくなりそうなので、はい」

 「だ、大丈夫だよ!津田くん、千穂から貰えるんだったらなんだって嬉しいから!」

 すっかり困惑している様子の彼女に、なぐさめるつもりでそう言うと、千穂はくるりとわたしの方を向いて、むっとした顔をしてみせる。と、

 「励ましは有難いけど、一花、名前出さないで」

 「……はい、ごめんなさい」

 指先で、軽く額をつつかれて、素直にそう謝ったものの、見上げた頬はほんのりと赤く染まっていて。

 なんだか、いつものきりっとした千穂じゃなくて、ちょっと可愛い。

 「おー、二人とも何やら乙女ですのう、よきかなよきかな」

 「池内さん、何キャラなんですかそれ……いきなり芸風変えないでくださいよ」

 「超適当ご隠居風味?まーとにかく回ろっかー、甘さに酔う前にー」

 すかさず突っ込んだ彼女にからかうようにそう言って、笑いながらわたしと千穂の肩を叩いた池内さんは、さっと方針を決めてしまった。まず、わたしが目星をつけている店をメインに、効率的に回りつつ、千穂と池内さんは必ずその途上で選ぶ、ということで、

 「引き返すのはありだけど、そう何周もしてても仕方ないしねー。そんで、好き勝手にツッコミ入れ合ってれば、ささーっと決まるでしょ」

 「……千穂は難しくない気がするけど、池内さんのお相手は、どう突っ込めばいいのか」

 「一階にはたまに来られるけど、私もそんなに接点ないしなあ……」

 「大丈夫大丈夫、こっちだって最近までぜんっぜんなかったから」

 「ちょ、ここに誰も詳しい人いないじゃないですか!何か情報くださいよ!」

 さらっととんでもないことを言われて、慌てた様子で千穂が尋ねると、

 「んー、確か元々はうちの外商で、支店に長く出てて今は企画部と兼務、みたいな位置付けだけど……まあ、個人的な印象ってことでよければ、容赦ない?」

 ……意外と、とかもつかないんだ。しかも、ヒントになるかといえば、ならないし。

 軽く小首を傾げつつも、躊躇なく言い切った池内さんの言葉に、あの穏やかそうな顔が浮かんで、ますますわたしは混乱してしまった。

 ともかく、今はまだ昼下がりだから、人の少ない今のうちに見てしまうのがいい。夕方ともなれば、勤め帰りに寄る人がどっと増えるだろうからだ。それに、せっかく遠出してきたのだから、どうせなら楽しんで帰りたいし。

 と、早速三店舗目のブースで、池内さんが足を止めると、

 「おー、スパイス入りとかいいかも。チリ、シナモン……いや、でもこれじゃ大人しいかなー」

 「……なんか、怖いのありますよ。激辛ガナッシュ入りだって」

 「あ、それネタに一個買おう。なんか失敗したら津田に食べさせてもいいかも」

 千穂が指差した、いかにもなイメージの赤い箱を、まずは一つ買って。

 八店舗目のブースで、わたしがお茶好きの父方の祖父へ抹茶トリュフを、さらに十四店舗目で、父へのキャラメルチョココーティングのバウムクーヘンを買って。

 結構大き目な箱が入った、専用の赤いバッグを右手に、抹茶色のバッグを左手に下げたところで、池内さんがマップを手に声を掛けてきた。

 「一花ちゃん、次って右?左?」

 「ええと、左です。今度は魚型のチョコ狙いです」

 「あ、一花ごめん、私こっちの店に行ってみるから」

 気になる店があったのか、右手の方を指してそう言ってきた千穂と一旦別れて、中洲のように配置されたブースの横を抜けて、先へと進む。

 母方の祖父が釣り好きだから、色んな種類の魚をかたどったそれを贈るつもりなのだ。そのことを伝えると、池内さんはふうん、と感心したような声を上げたけれど、

 「じゃあさ、本命はやっぱ、猫?」

 「え、あの、そ、その予定ではあるんですけど、なんていうか」

 いきなり図星を突かれて、わたしは一気にうろたえてしまった。安直、と言われれば、反論できないけれど、今年は思ったより多くの店舗で、モチーフとして使われているのだ。

 それに、本命、の一言にどう反応していいのか、自分でも分からなくて。

 すると、池内さんは唇の端を上げて、ちょっと悪戯っぽく笑ってみせると、

 「そんな難しく考えないでさ。あげたいなー、って思ったら、それでいいんじゃない?やばそうな時は、必殺『義理です』攻撃もあるんだし」

 そう言われて、わたしは少し考え込んでしまった。

 この間だって親切に助けていただいたし、お世話になっている、という点だけを見れば、義理だとの言い訳は立つ。

 だけど、そう取られてもいいのか、と言えば。

 「……言えない、なあ」


 どちらでも、言ってしまえば、取り返しがつかなくなってしまいそうで。

 ましてや、心の向く先は、既に動かしようもないのだから。


 そんなことを纏まりなく考えていたせいか、気付けば足を止めてしまっていたわたしの背中を、池内さんはぽん、と叩いてくると、

 「下手に保険掛けるような真似、一花ちゃん、出来そうにないもんねー」

 「……そうかもしれません」

 今だって、情けないけれど、もう頬が熱い。ひとつひとつ考えていくたびに、結局それしかないのだと、思い知らされていくばかりで。

 こんな調子では、口にする前に気持ちを悟られてしまいそうだ。ただでさえ店長さんはそういった機微にも、とても聡そうなのに。

 並んで足を進めつつもそう零すと、池内さんはふむふむ、と聞いてくれていたが、

 「でも、結構お互い様かもよ?決定的な一言を言われない限りは、向こうだって確信は持てないんだし、平然としてるっぽくても腹の中じゃ悶々としてたりするかもだしさー。ほら、身近に津田っていう分かりやすいサンプルがいるじゃん」

 「あのでも、彼と店長さんを比べるのは、正直どうかな、と……」

 「ま、そうなんだけどー。あいつどう転んでも基本が阿呆だからねー」

 そうばっさりと言い切ると、お、と短く声を上げて、軽く手を振る。視線の先を追うと、艶やかな光沢の、白のバッグを下げた千穂が、こちらに戻ってくるのが見えて。


 「それでいいんだよ。悩むだけ悩んで、そしたらいつか、ぽろっと形になるよ」


 だから、慌てない慌てない、と、池内さんはまるでとっておきのように柔らかく笑って、からかうように頬をつついてきた。

 すると、傍まで寄ってきた千穂が、軽く眉を寄せてみせると、

 「あ、池内さんが一花落としにかかってる。だめですよー、この時期に引き抜きとか、人事にチクりますよ」

 「津田とトレード出来るんならそれもいいけどー。二階が悶絶しそうだからやめとくー」

 こともなげにそう返すと、池内さんは次いこっかー、と明るく言って、先導するように歩き始める。背筋を伸ばして、高いヒールをものともせず、磨かれた床を危なげなく進む背中を見ていると、千穂が小声で尋ねてきた。

 「何、相談?」

 「うん、アドバイス貰った。千穂にも、有効かも」

 「なにそれ……まあいいや、後でちゃんと聞くからね」

 早くもわたしの目的の店の前に立ち、おーい、と手を振っている池内さんに目をやると、千穂は、さっきつつかれたのと反対の頬を、軽くつまんできた。

 ……ひょっとして何か、触りやすいんだろうか、わたしの頬って。



 ともかく、三人が三人とも、目的の物をどうにか無事に入手して。

 さすがに足が疲れたので、七階にある眺めの良いカフェに落ち着いて、注文を終えて、閉じたメニューをテーブル脇のスタンドに戻すなり、池内さんが容赦なく切り込んできた。

 「そういえばさー、一花ちゃんのはさっき見たからいいけど、津田のやつ、どんなのにしたのー?」

 「……シャンパントリュフです。よく飲んでるから、いいかなって思って」

 もう反応するだけ無駄だと思ったのか、素直に応じた千穂は、席の窓側に設置してあるサイドワゴンから、さっきの白いバッグを取り出してみせた。

 思い切り広げた手のひらくらいのサイズのそれは、鮮やかな深い青のケースに、葡萄の実のような淡い緑のリボンが掛けてあって、凄く爽やかな印象だ。

 そして、池内さんが選んだのは、カカオ分のかなり高いタブレット。原産地の異なる、小ぶりのものが五つほど入っていて、苦みと酸味があって、お酒にも合うのだそうだ。

 ちなみに、パッケージもバッグもマットな黒で、掛けられたシルバーのリボンが渋い。なるほど、これはとても大人な感じだ、とまじまじと眺めていると、

 「それで、萩原さんのこと、どんな感じなんですか?」

 お返し、ではないけれど、千穂がそう尋ねたのに、さすがに気になって顔を向けると、池内さんは難しい表情になって、頬づえをついてみせる。と、

 「分からんねー。気にはなるけど、まだ探り合いの段階だもん」

 別に見た目悪くないしー、仕事出来るしー、バツついてるわけじゃないしー、と指折り数えながら、二人を引き合わせた一階のチーフから聞いた、という情報を教えてくれると、

 「ほんとは三人で約束してたんだけど、チーフ来れなくなったっていうから、まいっか、これも人脈人脈、って適当に呑んでたんだよねー」

 すると、異動の噂や仕事の話から、次第にプライベートな話にシフトしていったそうで、

 「帰り際、なんか成り行きでおごってもらっちゃったから、今度お返ししますね、って言ったらさー、『じゃあ、来月、俺にくれませんか』って」

 慣れてるねーあれはー、と、むしろ感心したようにひとり頷いている池内さんの言葉に、うわ、と千穂は声を上げ、わたしは人様のことだというのに、何か照れてしまって。

 「あの、じゃあやっぱり、デートするんですか?」

 「うん、席はあっちが設けてくれるって言ってたから、行くよ。あの人もかなり飲むし、いい酒用意しますっていうし、そのへんも楽しみなんだけどさー」

 そっと聞いてみると、あっさりと回答をくれた彼女は、テーブルに両肘をついて、細く綺麗な指を組むと、

 「やっぱ、手袋投げつけられた以上は、それなりに切り返してやろうかなーって」


 ……池内さん、目が笑ってない。


 去年の初夏ごろ、津田くんに本気でキレた時の顔と同じだ、と思い返しつつ、それ以上、いったい何が、などとは、わたしも千穂も、とても聞けなくなってしまった。



 それから、各々のバレンタイン対策を、三人であれこれと話し合ったけれど。

 「彼から、宅飲みとかも提案されたんですけど、なんか大丈夫かな、って……」

 「や、やめといた方がいいよ!他に抑える人が誰もいないし!」

 「うーん、リードつけとくんならそれでもありだろうけどねー」

 ほぼ、津田くんが暴走しないようにするには対策会議、の様相を呈してしまったのは、もう致し方ないというか。

 ……わたしはわたしで、きちんと頑張ろう、うん。

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