第2話「薔薇園へ行ったのよ!」

同日。


「薔薇園へ行ったのよ」


 快晴。布団干しにも、洗濯物干しにも、出かけるのにも向いてる日!


 だから今日は全部欲張る!


     ☆☆☆


 21日pm10:00頃(定かではない)、通り雨が暴れる。


 22日am3:05分、悪夢に目覚める。


am3:10、起床。この日記を書く。


 昨日は薔薇園に行き、1600種あるという、2000株の薔薇を見てきた。

 花は盛りで、日光も強く、見学にはもってこいと見えた。


 しかしわたくしは、ものの見事に熱にやられ、くらくらしていた。



 すぐそこに、大和のために手に入れられなかった、白薔薇がいっぱい咲いているのに……。

 せめてもの手向け、と写真をいっぱい撮ってきたというのに。

 その心躍る風景に、降り注ぐ太陽の光は、ペールブルーの空から容赦なく浴びせられた。


 薔薇園の薔薇たちも、しおたれて、大輪のものほど下を向いていることも多かった。


 アーチの下をくぐると、人が、どこから来たのかというほど、にぎやかだった。


 日本人はこういうとき、静かに順路を進むのだ。ま、たまに人様の日傘をおしのけてずんずん進んでいく女性も居たにはいた。


 ドーリィなスカートとカントリー調のブラウスを着た女性が多い中、わたくしはパツパツの黒ワンピを着込んでいた。


 今日は暑いから、日焼け止めクリームだけまとって出てきたような、露出の多い涼し気な格好。


 だが、返って遮るものがなく、無防備と言えた。


 園内を一周すると、体力の消耗が激しく、写メってる場合でもなくなった。なので、比較的短時間でそこを出た。


 祖母もいて、母もいて、二人の写真もとった。わたくしだけ、戸惑いを隠せなかった。


 さあ、さっさと出よう、としたら。

 出口はショップになっており、園芸用品と薔薇の苗でいっぱいだった。

 わたくしは、こんなところでもなければ絶対に買わないであろう、ローズ・ジャムを母に買ってもらった。薔薇園だからこその、説得力に目がいった。ローズシロップでもいいなと思った。

 薄紅色の透明なシロップが、小瓶にきゅっと封じられていて、理科実験道具にときめいていた小学校時代を思い出した。中に薔薇の花びらが可憐にたゆたっている。

 あとは薔薇の形のマドレーヌとか、しっかりしたタオル地の、薔薇の花柄のハンカチその他が並んでいた。



「いや~、家にもこんなきれいな薔薇が咲いてたらいいと思うけど、手入れが大変よ。ま、手入れするから綺麗にさくんだけどね」



 また、どや顔してしまう(笑) わたくし……。



 さて、移動食料品店もあった。

 かきごおり、パン、丼物、とあるが、ここはせっかく薔薇園なので、薔薇のソフトクリームを買ってもらう。


 ほんのりピンクで、薔薇の香りのする、おいしい「スジャータシルクソフト」だった。


 ああ、至福!

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