第4話 三笠への道
此処は、横須賀空港に止めた三笠甲板上。
「八ちゃん、今日は、おにぎりにしてみたの」
「ありがとう、イソちゃん」
「おにぎりの中身は、うこぎの和物を入れてみたんだ!」
「ちゅうちゃんの生まれは、米沢だもんね」
私と山本磯子、南雲忠子ちゃん達は、昼ご飯を食べている。
バゴンと何かにつき飛ばれされる音がし、男の人が空港内の敷地を転がる。
男の人の名前は、
三笠に乗って、アメリゴ国に向かう予定の人。
でも、あいからわず、三笠に受け入れられてない様だ。
少し歩くと、何かに弾かれる様にして、吹き飛んだ。
「また、やられちゃったー」
「もうだめだめだやー、ん何かきたがやー」
魔導車が、ギュルギュルと音を立てドリフトさせ、秋山少佐の傍で止まる。
車からは、少佐そっくりの人影が、見えた。
その人は、秋山少佐を投げ入れ、車を走らせ、三笠の方へ向かってきた。
ギャリギャリと音を立てて、車が此方に向かっくる。
先程、少佐が弾かれた所で、車が亀の様に、突然ひっくり返った。
車は、部品をボロボロとブチまけ、転がり止まる。
中から現れたのは、陸軍仕様の紺色の服を着た、イケメンの人物。
「イヤー流石に、コサック相手に勝てても、軍神の戦艦には勝てないか!」
「兄さん、無理しないでよ!」
「まったく、折角の魔導車がダメに成ってしまったHAHAAH」
その人物は、
弟の
第二百三浮遊鉱地、通称【二百三鉱地】で、ルーシアの最強陸軍コサックを打ち破った人物。
【空艦少女大戦】では、旦那にしたいキャラ五位。
風呂には入らず、何時も水浴びで済ませるキャラ、通常は出会いが無い。
ただし、二ヶ月に一度のイベント【別府温泉なるみ】で出会える。
プレイヤーが暖簾を掛け替え、彼が女子風呂に間違えて入る、脱衣所イベントで、出会いが始まる。
好感度を上げる為に、【二百三鉱地】で、ルーシア帝国海軍との戦闘に参加する事が条件。他の艦に乗り、操作をする為に、東郷ルートでは攻略無理な人物。
「さぬよ、儂も挑戦しても良いか?」
「兄さん、無理だってば」
敷地を転がる、拳大の石が、足に当たる。
道端の樽が転がり、少将に向かう。が、当たる直前に、軍刀を抜き、樽が真っ二つにされる。
近くの船のワイヤーが突然弾け、軍刀に絡み付き少将を宙に持ち上げ、そのまま地面に叩き付ける。
横に居た二人が、キャッと悲鳴を上げる。だが、地面に刺さったのは軍刀。
シュタッと甲板に誰かが、飛び乗る音がした。
音の方を見ると少将が、片膝を付いていた。
甲板上の全ての物が、武器化し、少将へ向かう。
「我こそは、ヤマト国陸軍少将、
立ち上がり、武士の様に名乗りを上げると、目と鼻の先まで迫った武器は
「男の人が、始めて立った」
「んだな」
「三笠が認めた」
「んだ、人にとっては、小さな一歩。男子に取っては、大きな一歩だがにゃ」
少将は、私と二人の方へ歩いてくると、陸軍式の敬礼をした。
日の光が当たり、彫りが深い顔と精悍な顔が見えた。
人気の理由が、分かった気がする。
私、東郷八子ルートでは、絶対に交わらないルートが、
「私、
「少将は、フラソワ共和国に留学され、現地情勢に明るいと聞いております。宜しくお願いします。」
「元帥閣下に、頼みにされるとは、不肖、
私と彼は、握手を交わす。暖かい手の温もりを感じ、この世界は
此れから起こる、第一次、二次世界大戦。
私がいた世界、日本の様な間違いを、この世界で繰り返してはいけない。
巨砲大艦主義の路線は、変更をした。
此れを、修正主義と呼び、批判する人間も居るかもしれない。
だが、此処は異世界。
九条も原発も存在せず、歴史は始まったばかり。
無い歴史を変えたら、修正主義だろうか?
イヤ、私は
と思っていると、少将が弟に声を上げた。
「儂は、サライェボに行けるぞ!さね!お主はどうする!」
「私も、サライェボに行きとう、ございます!」
少佐は兄に答えると、三笠の方へ走り始めた。
拳大の石が脚に当たり、樽が飛び、軍刀で真っ二つにされた。
次は、ワイヤーでは無く、タライが少佐の頭上に現れ当たり、少佐は倒れた。
三笠は、学習する。
この艦は、文字通り生き物。
間違いは、繰り返さない。
「そういえば、元帥閣下?サライェボに行くまでの物資は、確保されましたか?」
「えーと、私は食事もトイレも必要ない躰だし、物資は必要無いんだけど?唯一は、礼服と下着だけ?」
「やはり、そうでしたか……私の分の食料等は考えてませんでしたね……」
「あっつ……」
よく考えたら、少将は普通の人間だった。
幸いに、三笠にはトイレも有るし、風呂も完備している。
【空艦少女大戦】では、女性向けにちゃんと個室のトイレ、風呂も無駄に完備されていた。
運営に感謝し、三笠の内部構造に付いて再度考える。
後部に長官室と艦長室、中央に倉庫だけが有るはず。
通常、倉庫は、食料と弾薬等を入れる。
だけど、三笠は魔法で生成し、法撃するから、弾薬は要らない。
私は、食事さえ食べないから、倉庫はガラガラのはず。
一応確認してみるか?
「そうでした、スミマセン。倉庫を確認します。物資の搬入をお願いします」
「分かりました、直ぐに、用意させます」
少将は、敬礼をするとタラップから降り、弟の少佐を連れ、何処かに行くのを見送った。
私は、二人と共に、三笠の倉庫の中を見る事にした。
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