第4話地底都市
アレシアとの激しい戦闘の後盗賊の下っ端らしき男たちが気絶した彼女を引きずって本拠地にもどるらしいので案内してもらうことにした。しかしこうしてみると無法地帯にあるこの都市は本当に広かった、どこまで続いているのかいまだに把握できていなかった。そしてある一軒家に盗賊たちは中に入っていった、しばらくしても出てこないため様子を見るため中に入った。
「思った以上にこじんまりしているな」
周りより少し大きい程度で普通の家だった、全員入ったのを確認したのだが人の気配が一切なかった。
(どこに消えた)
家の中は予想通り荒れ果てていたが特におかしなものはなかった、しかし床には彼らの足跡がしっかり残っていた。ほこりがたまっていたおかげですぐ見つかった、その足跡は家の中心にある家族で集まるためにあるのか少し広い部屋の暖炉まで続いていた。
「ここか……暖炉?っていうんだっけかなここが隠し扉とかなのかな?」
触って調べているとつい力が入ってしまって暖炉に穴をあけてしまった。
(壊れやすすぎだろ!)
開いた穴から風が通る音が聞こえておりこの下が空洞になっているのは確信できた。次は壊すつもりで暖炉床からひっぺ剥がすと階段が現れた。
(少し強引だが結果オーライというやつだな)
そんなことを言いながらゼウスは階段を下りて行った。
アレシアはどこかの薄暗い部屋の真ん中で鎖にがんじがらめにされていた、そんな中やっと意識が戻った。
「う……いた~」
そして自分の体の状態を確認したが訳がわからなかった、目が覚めたら鎖につながれているのだからしかたがなかった。
「なんで 私鎖に繋がれてるの……」
そして少しずつさっき起こったことを思い出してきた、謎の男との闘いなどだんだん鮮明になってきた。
「そうだ 私あの男に吹き飛ばされて気を失っちゃたのか……それよりここどこよ」
そんなどんよりしたオーラを放っていた、彼女はしばらく様子を見て脱出するチャンスを伺うことにしておとなしく寝ていることにした。
「これは驚いたな」
ゼウスは階段を降りると驚愕した、そこには巨大な地底都市が広がっていたからだった。上空には魔法で作り出されたのか光り輝く球体が浮かんでいた、その球体が確認できるだけで8個ほど少しずつ動きながら暗い地底を照らしていた。その下にはまた何層にも分かれているように見て取れた。
「この下にもまだまだあるのかよ!探すの苦労しそうだな」
そういうとゼウスはその場所に座り込んでしまった、思った以上にややこしくなりそうだから少し心を落ち着かせた。
「誰かに聞いてみるか」
ふと思いついた作戦にかけることにした、もちろん普通に聞くのではなく魔法を使うのだがまだ相手の底が知れないのでできるだけ使用は控えたかった。
(いや、まてよあいつ魔法を感知する設置魔法が城に仕掛けてあるとか言ってたよなここにあんな物作り出す奴いるしその魔法が仕掛けられてる可能性が高いんじゃ……)
ゼウスは魔法は使わず脅して場所を聞き出すことにした、さっさく誰に聞くか品定めを始めた。
「誰から聞けばいいかな」
ゼウスは高所から見て誰にするか迷っていた、しかしそれ以外にも目がつくものがあった。それは着用している衣服や行動からでも確認できた、一番多いのはボロボロの布を着用した若い男女である。まるで働きアリのように地底都市を建設していた、その次に多いのがさっき外で会ったような男女でみな武器を常時装備している。そいつらを統制してるような奴らもちらほら見て取れた、そんな奴らがなにかトラブルがあったのかもめ始めた。
「頼むから少し休憩させてくれ!このままじゃ死んじまう!」
ぼろ布を着た二十代後半の男が武器を持ってる男に叫んでいたが、聞く耳を持っていなかった。その隣では若い男女の盗賊が子作りに励んでいて喘ぎ声が響いていた。
「ふざけるな もっと働け!睡眠なら十分にとらせたろ!今日の目標達成まで休憩はなしだ!」
周りに聞こえる大きな声で言い返した、それに落胆するようなぼろ布をきた男女とクスクス笑い始める武器を持った者たちで別れた。
「あれだな奴隷は、初めて見たな」
ゼウスはそんな光景を見た心にしこりが残った、犯罪者でもない彼らが奴隷ならどこからか攫われてもてあそばれていることになる。
「不快だ」
胸糞悪いのをみて気分を害したかれは少し苛立ち始めていた。
「その前にあの女をさっさと助け出しますか」
「見張りの交代の時間だ」
「わかった、後よろしく」
「たくっ 見張って何が来るんだってんだよ めんどくせぇー」
そんなことを話している盗賊の男の背後に近づきゼウスが敵から奪ったナイフを首元に押し付けた。
「静かにしろ」
「!?」
「少し質問に答えてもらう、拒否権はなしだ、騒いだら即座に殺す」
首元に冷たい金属の感触が伝わってきて恐怖が倍増した、彼の決断は早かった。
「わかった…なんでも話す、だから」
(意外と簡単に話してくれて助かった)
ゼウスは内心ほっとしていた、そう簡単に教えてくれないだろうと思って何人にも聞いて回るつもりだったが一人目で答えてくれて死体の数がへったからだった。
「一つ目はさっきここに黒い騎士が連れてこられたはずだどこにいる」
「そいつはしってる、9階層だ……ここの一番下の牢獄に幽閉されたと聞いている、本当だ!そこまでしかしらない!」
「二つ目の質問だあの魔法を使ったやつはここにいるのか」
「あの空に浮かんでるやつか あの塔の中で何時も魔法の研究をしているはずだ」
「なるほど助かった嘘だったら殺しに来るからな」
そういって首を締めあげて気絶させて床に落した、生きているかは確認せずにすぐに場所の確認を始めた。
「ここの一番下か~遠いな」
ゼウスの前方に他の家とは明らかに違う巨大な塔が立っていた、その高さは浮遊している光に届きそうなくらい高く灯台に近い形をしている。
「あそこにいるっていっていたよな、先に会いに行ってみるか」
ゼウスは魔法のことに関してはまだ知識が乏しかった。そのためあのような魔法が作り出せるのならぜひ会って話を聞いてみたいと思っていたのだ。誰も上など見ていないためそのまま飛んで行ったらあっという間にその塔に到着した。
「さて中にどうやって入るか、壁をよじ登るか、飛んでいくか、ドアから堂々と入るか……入口からお邪魔しますか、話を聞きたいんだ、違うところから入るのは失礼だな」
そして目の前のドアを開けて中に入っていった。不思議なことに鍵はかかってなかった、中は螺旋階段になっていて真ん中は空洞になっていた。風の吹き抜けがよいが窓などが一切ないため真っ暗で一歩間違えたら下まで落ちてしまう作りだった。
「踏み外したら終わりだな」
螺旋階段を少し急ぎ足になりながら30分近くかけてやっと目的の部屋についた。
「やっとか」
そして少しずつ部屋の扉を開けて中に入った、まず目に入ってきたのが大量の本だった。
(すごい数の本だな)
その部屋は蝋燭が何本も火を灯していて本棚には魔法関係の本がびっしり隙間なく敷き詰められていた。その他にも薬草や怪しい煙が出ているビンなどが綺麗に並べられていた。そしてその奥に一人赤いフードを被っている人物が一人立っていた、ゼウスは少し緊張しながら声を掛けた。
「失礼」
声を掛けた瞬間フードを被った人物がびくっと肩を動かした、そしてこちらに振り返った。その人は女性だった、年齢は30代だろうか、そしてとても魅力的な体をしていた。大人の女性っといった感じで茶髪にボブのような髪型だった。
「誰!?」
とても警戒しているようで、いまにでも護衛を呼ばれそうな雰囲気だ。当たり前の反応だった、少しでも警戒心を解いてもらうため急いで弁解を始めた。
「ちょっとまってくれ少し話がしたいだけだ。本当だ頼む」
すぐに頭を下げてお願いした、その行為に少し疑問を持ちつつも護衛を呼ぶのをやめてくれた。
「何が目的でここに来たの?!」
「私は魔法使いだ、あなたがあの魔法を作ったのか?」
「そうよ何あなた光の素晴らしさがわかるの」
そういうと彼女の目がキラキラ輝き始めた、その反応をみてこれはいけると確信した。
「あぁそうだ光の仕組みが知りたくてここに来た」
「あれ簡単な光魔法よ、光を集合させて光らしているだけ。長時間光り続けるのが難しいけどね」
「光魔法?魔法についてどこまで知っているんだ?」
「極めたわけじゃないけどかなり詳しいわよ、あなた魔法使いって言っていたわよね、一体どんな魔法が使えるのかしら?」
「すまない。まだ衝撃波や火など雷を飛ばすことしかできないんだ」
「え?じゃ属性のことや特性のこともしらないの?」
(わからない……)
言葉に詰まったゼウスを見て察してくれたのか何も言わずに理解してくれた。
「まだ魔導士になって日が浅いってことね、まぁこの時代じゃ珍しくもないか」
そして本棚の本を取ってこちらに振り向いた彼女の目は太陽のように輝いていた。
「ふふーんじぁお姉さんがきっちり教えてあげるわ、まず私たちが使う魔法には大きく分けて6種類の属性と3種類の性質があるの。火、水、氷、雷、光、闇があるのよ、そして3種類の性質長距離、連射、拡散があるのこの基本的な事をさらに詳しく説明すると…」
誰だかわからない男にいきなりここまで話してくれる彼女は大丈夫なのか?という疑問が出てきたが、今はゆっくり話してる暇もなく後で話す約束を取り付けることにした。
「すまない時間がないんだ予想以上にいろいろな事を知ってそうだ、なんであなたがここにいるんだ理由を教えてほしい」
「私がいる理由か特にはないわね、単にここならだれにも邪魔されず私の魔法研究ができるからよ。ほんとにそれだけ」
「そうなのか俺はこれからここを乗っ取ろうと思っていてなできればあなたと対立したくないのだが」
「ここさえ壊さなければなんでもいいわ好きにして」
「すまない今更だが名前を教えてくれないか最初に聞いておくべきことだった」
「私はミルスよあなたは?」
「私はゼウスだ」
「そうまた会えるのを楽しみにしてるわゼウス君」
「ミルスは俺がここを一人でここを乗っ取れるとおもっているのか?」
「正直言うと無理だと思ってるわ。だってここには2人の怪物がいるもの、でも誰にも見つからずにここまできたってことはそれなりにできるというこよね楽しくここで見学させてもらうわ」
「見てな面白いもの見せてやるよ」
(怪物が2人か念のため注意しておこう)
そう言って部屋を後にした。
ミルスの部屋をでて塔の階段を下り終わった後また不思議な光景を目にした。さっきまで働いていた者たちも見張りの男たちもみなある2人の人物に集中していた、その人物の一人は神輿のようなものに座っていた。金や銀などの装飾品で彩られている前方に椅子があってそこに堂々と座っている、髪は短く血のように赤く目つきからして危険な雰囲気が漂っている。
もう一人はその神輿を1人で担いで歩いていたのだ右肩に乗せて歩くその姿は山のような迫力だった、前身は苔のような色の鎧に覆われていてまったく中身が見えない。そして身長も2mを軽く超えている、その背中にはその人物に負けを取らないぐらいの迫力のハンマーを背負っていた。全身を鎧で覆われているのにハンマーと神輿を担げる筋力は異常だった。そしてその人物が近づくにつれ、布きれを着た奴隷たちは次々と膝をつき頭を地面にこすり付けた。そう指導したのかそれとも自然にこうなったのか少し疑問に思った。
「うわ~」
ゼウスはドン引きしていた、そんな時神輿に座っていた人物が口を開いた。
「おい、少し止まってくれ」
このとき声を聞いたが驚いた、女の声だった。さっきまで担いで運んでいた大男が少しづつ神輿を下した。
「そこの女顔をあげろ」
赤髪の女が指名した少女の奴隷がゆっくりと顔をあげた、まだ幼さが残っている年は15歳ぐらいだろう。
「まだ若いのにこんなところに閉じ込められているのか」
ゼウスの心が初めて可哀想や同情といった感情が沸き上がった、そして赤髪の女が少女の髪を掴んで持ち上げて少女の顔をじろじろと見始めた。品定めをしているように見えた、どうやら少女が気に入ったらしく蛇のような長い舌で少女の頬を舐め回した。
「いいねぇ~」
凶悪な笑顔だった、一体何人の命を奪ってきたと問いただしたくなる。少女の顔は恐怖で歪み今にも泣きだしそうになっている、それでもさっきから泣き言言わず頑張って耐えているのはおそらく逆らったら周りがどうなるか理解しているからなのだろう。少女と肩を組んで赤髪の女は神輿に向かって歩みだした、しかしそんな彼女の努力もむなしく1人の老人がが反論した。
「まってくれ!お願いだその子を連れて行かないでくれ!そのこはまだ未来があるんだ!遊びで殺すならわしら年寄りにしてくれ頼む!」
老人が必死で頼んでいるのをあざ笑うかのように女の口が開いた。
「はぁ~あんた馬鹿!?私はね可愛くて若い女を食べるのが好きなの!お前らみたいなしわくちゃはお呼びじゃないの。わかった?たく…気分が悪くなったダイダラ」
どうやら鎧に包まれた大男の名前はダイダラと言うらしい、そして赤髪の女の一言でダイダラが後ろに担いでいたハンマーを取り出した。奴隷たちは恐怖のあまりかどうやら顔を上げるのが怖いらしい、そしてさっき意を唱えた老人の隣にいた若い青年にハンマーが振り落とされた。グシャっという効果音とともに周りに赤い血と肉が飛び散った。
「嘘」
連れ去られていた少女がボソと呟いて膝から泣き崩れた、そんな泣いている少女をみてどうやら赤髪の女はご満悦のようだ。
「帰るよ」
そんな一言でダイダラと赤髪は少女を連れてさらに奥に進んでいった、意を唱えた老人も周りの者も後悔と無力な自分に泣くことしかできなかった。そしてゼウスも行動を開始していた。
(確か9層にいるって言ってたよな。早くあの女を助けてここを乗っ取る)
目標ができたせいかすごいやる気が出てきた、そして崖を下ること20分やっと最下層の牢屋に到着した。その間に見てきた1~9でどの階層に何があるのかを確認できた、1~3は主に生活をする階層で4~6は道具や設備が整っていて武器庫などがあった。7~8は物置として使用していた、そしてここ9階層が監獄だ。円のように牢屋が並んでいるため彼女を見つけるのにそんなに時間はかからなかった。
「元気か]
「!?」
寝ている彼女体が少し跳ねた。
「あんたなんでここにいるの!!」
監獄の中でこだまするほどの大声が彼女から発せられた。
「うるせーよ!」
ゼウスも少し大きな声を反射的に出してしまいらしくないことをしたと後悔した、そしてアレシアに事情の説明を開始した。
「1から説明するから少し黙ってくれここにいるのは君を助けるためだよ」
「なんでよ」
「おそらく君はルカンデラに所属しているだろ、大変世話になったからなその恩を返すのと……恩を売るためだ」
「助けるも何もこうなったのはあんたのせいじゃない!」
「悪かったって」
「本当に思ってるのかしら」
「思っているさ」
「どうだか」
このままだと時間の無駄なことに気づいたゼウスは急いでこの後の脱出する方法の話し合いを始めた。
ゼウスはアレシアと合流後現在の状況を説明して作戦会議が開かれた。
「それで私の武器はどこにあるの?」
「重いからあいつら後で持ってくるって言ってたなそろそろ持ってくるころじゃないか、後さアレシアはここのこと知ってるのか?」
「ここを壊滅させるためにここに来たのよ誰かさんのせいで予定がずれちゃったけど!」
(あぁしつこい)
「あんたこそなんでゴルザスとあらそってるの?」
「ゴルザス?」
「ここの盗賊団の名前よ、それも知らないで戦ってたのね」
「あー最近来たばかりだったからな、そんなことよりどうする君をここから出すのは簡単だが?」
「まってそれよりここのボスを先に始末したほうがいいかも、司令塔を失った群れはすぐ崩壊するから」
「ボスっぽいのは見たぞ赤い髪の女に大男がいたな、男の名前はダイダラって言っていたな女の方はわからなかった」
「そいつらの居場所わかる?」
「1層にいると思うぞ」
「あとは私の武器がどこにあるのか問題ね」
「1層にあるんじゃないか?」
「そんな適当じゃ困るのよ!大事なものなんだから!」
その時上からリフトが降りてきた音が聞こえてきた。
「誰か来るな、いいか危なくなったら俺がすぐに助けに入るそれまではお前が武器を入手するまで下手な真似はするな、いいなそれじゃ」
「ちょ!」
そう言ったゼウスはどこかに走って行った。
「勝手なんだから」
アレシアはゼウスの言葉を信じる以外道はなかった、そしてリフトから降りてきた2人の盗賊が鍵を開けた。
「おい 外に出ろキレス様がお待ちだ」
アレシアは無言でしぶしぶ外に出てきた、まだ鎖はガチガチに結ばれており足以外動かせるところがなかった。そのまま5人ぐらいの男たちに前後左右囲まれた状態で連行されてリフトで1層まで運ばれた、ゼウスは服を全部脱ぎ透明化してしっかりそばについていた。
1層についたらアレシアは奴隷たちの姿を目の当たりにした、そして激しい怒りが込み上げてきた。もし今動ける状態だったら間違いなく盗賊どもを皆殺しにしていただろう、今じゃなくても必ず潰すと心に誓った。
そしてしばらく歩くと他より大きい扉の前についた、その扉が少しづつ開いてその奥には赤髪の女がソファにふんぞり返っていた。
「ようこそ~十騎士のひとり若き天才!アレシア ルーンさ~ん!」
とても不快なしゃべり方だった、そしてなぜアレシアのことを知っているのかも気になった。
「あら、私のこと知ってるんだ」
「もーちろーんゆうめいじゃん!」
「それであなたはだれ?」
「そいえば~まだゆってなかったっけ?私はキレス、ゴルザスの頭領よ~よろしくね」
(あいつがトップね、もう一人大男の姿が見えないけど)
「さておしゃべりはここまでにして本題と入りますか、ほんとうは~あなたをここで足止めさせておけばよかったんだけど~何故か捕まっててさほんと笑える」
口を手でふさいでクスクス笑っているキレスにそろそろ我慢の限界が近づいてきた、あの顔を崩壊させるほど殴れたらどれだけスッキリするだろうか簡単に想像つく。
「そうだなそろそろ終わりにしようか」
後ろからゼウスの声が聞こえてきたそして何もないところから彼の姿が少しづつ見えてきた、まるで霧の奥から現れるように。
「誰だ貴様!どこから入った!」
「うるさいな~」
「なんだと!」
後ろに控えていた盗賊が一斉にゼウス襲い掛かろうとした。
「燃えろ」
魔法を発動させると男たちがいきなりもがき始めて必死に体をかきむしっていた。そして体の奥が少しづつ赤くなっていき口から火を吹き始めた。口だけじゃない鼻、目、耳そして肌が溶けて敗れたとこからも火が出てきてた、そして燃え尽きた者たちは灰になった。
「次はお前だ」
「次はおまえだぁ~?おは誰だよ」
「私か?ゼウスって言うんだ」
「知らないなぁ~まぁいいや、さっきの手品はすごかったけどミルスほどじゃないねばいばいゼウス君」
キレスが笑顔でゼウスに手を振っている、ゼウスはさらさらこんな奴に負ける気がしなかった新しい魔法でどう殺すかしか考えていなかったのでバイバイの意味が分からなかった。
「バイバイ?」
その意味を理解する時が来た、上空からダイダラが降ってきた。どすんと音とともに地面に亀裂が走った。
「まじかよ」
ゼウスがあっけらかんとしていたらダイダラのハンマーが横にフルスイングしてゼウスを部屋の外に吹き飛ばした。
「1人死亡確定~」
壁を貫通して暗闇にゼウスの姿は消えていった、しかしその暗闇の中から無数の鎖が伸びてきてダイダラをガッチリ捉えた。
「創造クリエート・鎖チェイン」
ゼウスが落下しながら何十本という鎖を手のひらから伸ばしてダイダラを引きづりこんでいた。
「本当に頭にきたぞ」
そして2階層に着地したゼウスはさらに力を入れてダイダラを引っ張る、ダイダラの巨体が徐々に動いていた。
「あいつなんなの!?ハンマーをもろにくらってなんでぴんぴんしてるの!?何者!ダイダラふんばりなさい!」
ダイダラは腰をおろして踏ん張っていたがズルズルと少しずつ確実に動いていた。
「あと少しだな」
ゼウスがさらに力を入れたらダイダラの体がついに宙にういてすごいスピードで2階層に飛んで行った。
「そのままじっとしてな!」
ゼウスが背負い投げのような形で飛んできたダイダラを地面に叩きつけた、ダイダラの体半分は地面にめり込んだ。
「まだまだ」
そのままゼウスは右回りに回転を始めた、ダイダラを鎖でつないでいるため遠心力を利用してすごい勢いで回転しはじめた。周りの壁に当たろうが弾けようが回し続けたかったが鎖が切れてダイダラが壁に減り込んだ。
「さすがに回りすぎたか」
周りの壁はぼこぼこになっていて凹凸が酷くなっていた。
「あれだけぶつければ死んだか、結構早いスピードで回転していたし」
しかし壁の中からダイダラが出てきたが多少はふらついた、かなりのダメージを受けていた。
「頑丈だな~あいつ一体体は何でできてるんだよ、鎧か?」
ダイダラはまだしっかりとハンマーを握っていた、そして明確な殺意がこちらに向けられているのもわかる。そしてダイダラが先に動いたまっすぐゼウスに向かって走ってきた。
「正面から来るのか、いいだろ力比べと行こうじゃないか」
そしてゼウスめがけて垂直にハンマーを振り下ろした。ゼウスは左手で軽々受け止めた、そいて足首が地面に埋まっていた。
「確かにすごいパワーだ」
ゼウスの右手が真っ赤に光り始めた、その赤はまるで溶岩のような赤さだった。そしてその右手でハンマーの付け根を溶かして切断した。
「意外とうまくいったな」
切断したと同時にダイダラが尻餅をついた、そしてゼウスがダイダラの兜を左手で鷲掴みにした。握力でダイダラの兜に亀裂ができ始めた。
「命を奪うか」
ダイダラの兜の隙間に手の平から発生した火炎放射をお見舞いした、ダイダラの鎧は溶解していった。ダイダラは鎧の下でまだ生きているらしく鎧を必死に脱ごうとしているらしいが溶けたせいか肌なのか鎧なのかわからなくなっていた。そしてある程度あがくと動きを止めて息を引き取った。
(さてあの女のところに戻るか)
ゼウスとダイダラが戦っているなか同時進行でキレスとアレシアの戦いが始まっていた。
「少し驚いたけど~ダイダラには勝てないかなぁ、こっちもあんたを殺してさっさとおわらせるよ」
「そんな簡単にいかないわよ」
アレシアはゼウスが残していったランスと盾を拾い上げた。
「簡単にいくさ、あたしの武器は神聖装備を破壊するために作られたようなもんだからねー」
キレスは椅子の後ろから剣を二本取り出し鞘から抜いた、しかしその剣が明らかにおかしい剣に赤い不気味な文字がはい回っているのだ。常に動いていてまるで生きている虫みたいだった。
「うぅ気持ち悪い?」
「失礼なやつだな」
「何なのよその武器は?」
「聞いたことあるかな?呪法と呼ばれているの」
「呪法?不気味な名前ね」
「不気味だなんてひど~い」
「あんたのしゃべり方もなんかイライラするの」
「今すぐ殺してやるよ小娘」
キレスが大きく飛び上がった、全身神聖装備でいるアレシアの方が有利に見えるがキレスの身体能力は並の人間ではありえない高さだった。そしてでアレシアの前に綺麗に着地した。
「ふっ!」
目の前に降りてきたキレスを盾で殴り飛ばそうとするが上半身を後ろに下げてかわした。
「ざんねん!」
そして二本の剣を右下から上に振り上げた、アレシアはそれを難なく盾で斬撃を受け止めるが受け止めた後の異変に気付いた。
「何これ?!」
ガードした盾にキレスの持っている剣についている文字が盾に乗り移ってきた。
「あはは~受け止めたら最後だよ、呪いは絶対に解けないから!」
「気持ち悪い!」
盾に気を取られた隙にキレスの斬撃が降り注いだ、斬撃はとどまることなく浴びせ続けさせた。アレシアは反撃のチャンスをうかがっているが全く隙が見えない、そのため無理にでもランスの間合いに持ち込むかを考えていたが懐に入られた今それは厳しかった。
(こっちは鎧がある……少しなら持ちこたえられるはず)
しかし先の受けたら最後と言う言葉が頭に残っていてなかなか攻撃できなかった。
「どうしたの守りのいってじゃかてないよ~」
「随分とおしゃべりが好きなのね!」
「可哀想だからなぐさめてあげてるのよ」
「余計なお世話」
後ろに飛んで後退した、そして盾の状態を確認したら少しだけだがあちらこちらにひびが入り始めていた。ひびだけじゃなく錆びているところもあり今にも壊れそうだった。
「なにこれ」
「呪いだよ。いづれその盾は朽ち果てて砂になるの」
「そんな…」
「だから休ませる暇なんて与えないよ!」
(このままじぁ黒鋼の盾が壊れる無理にでも決着を早めないと)
斬撃が途絶えた今ランスの方が射程距離が長いから相手を十分に引き付けて一撃で終わらせるつもりだった。
(大丈夫相手は生身……一撃入れば終わるはず……)
ランスには秘密があった、ゼウスを吹き飛ばしたときのカラクリはランスを突き出しと同時に魔法が発動され突き出した周りにも同様の威力が発揮されるものだった。
キレスが少しずつ歩いてくる、さっきはジャンプ力に驚いて隙をついてしまったが今度はそんなミスはしないと誓った。
(今)
アレシアは全力でキレスに突きを繰り出したスピードと腕力がのった渾身の突きは体を切断するはずだった。
「残念!」
「なんで」
キレスは大きく右にそれて魔法の勢力外にいたそして突きを繰り出したアレシアは無防備なため止まっていた。
「おわりだね~」
拍手をしながらアレシアのところまで歩いてきた、少し固まっていたアレシアの鎧、黒鋼に呪法の刃が切り付けられた。アレシアは前方にそのまま飛んで回避したがすこし受けてしまい鎧とランスにも文字が出ていた。
「また……」
アレシアの息も上がっていた、そして盾も見るに堪えないほどボロボロになっていた。
「決着がついたね」
「まだよ」
アレシアが盾を捨てた。
「何?舐めてるの?」
「さぁどうかしら」
そしてアレシアがキレスに向かってまた突きを繰り出した。
「だからもう黒鋼のことは知ってるって」
キレスはそれを難なくかわす、しかしアレシアはランスから手を話してキレスにむかってなおも距離を詰めた。
「自殺願望でもあったの?」
そしてとうとう黒鋼がはがれ始めて中身が見えるところも出てきた、この呪法を生身で受ければ体が腐り始める。それでもアレシアは怯まずにまだ距離をつめていたそして手が届く範囲まできた。
「頭おかしいの?!」
アレシアはキレスの顔をガッチリつかんで180度回転させた、あのおしゃべりの口が開いたまま絶命した。そして黒鋼も朽ち果ててしまった。
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