30.5話 : キューちゃんです。
ハロー。僕はキューちゃんです。
僕は主であるミルク様の召喚獣。
僕らは、普段、隣の世界にいる。召喚師がそんな僕らを呼ぶんだ。
それに相性ってのもあって、相性がいい人の声だけが届くんだ。これは召喚師達も知らないこと。
一人ぼっちだった僕は、主の声に救われた…。
あの日も、いつものように一人だった。みんな、僕を嫌うんだ。バケモノだって。
でも、そんな中、誰かに呼ばれた気がした。「おいで。こちらにおいで。君の力を貸して」って。
疑うこともなく、僕は声をたどって行った。光る空間があって、その向こうに女の人が見えた。
「あぁ、僕を呼んだのはこの人なんだ」って分かって、その光に手を伸ばした。身体が光に包まれて、気がつくと主の前に立っていた。
生まれた時のことはとうの昔に忘れたけど、でも、生まれたての子のように泣いてしまった。
僕らの声が聞こえる人は珍しく、中々会うことは出来ない。だが、主には僕らの声が聞こえるようで、それを知った僕らは喜んで色んなことを教えた。
この世界の成り立ち。英雄を嫌う、英雄の話。英雄が死んだあと、どうなったのかまで全て話した。
主は僕らの話を疑うことなく信じてくれた。そして焦がれた。英雄の生まれ変わりに出会うことを。彼とともに旅をすることを。
主の望みは、僕の望み。
主が彼と旅をしたいと願うなら、僕はそれまでお護りするためにそばにいる。叶うならその後も、ずっと、主を護りたいけど……
主が求めていたのは僕じゃないんだ。バケモノの僕なんて……だから、アッサム。生まれ変わりの君なら、きっと、主を護ってくれるよね?
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