31話 : その人達の共通点


コジー「生まれ、代わり……!?」




コジーは「こいつ何言ってんだ?」みたいな顔をしている。僕にも分かるくらい、コジーは分かりやすいと思う。本当に。


隣では、そんなコジーを見て半分呆れながら「なるほどな」と呟いているシュガーがいる。




コジー「なるほどって……お前、頭おかしくなったのか?」



シュガー「それはお前だろう? …これまでに会ったリリナやレオンの言動を思い返すと納得がいく。……だが。それがどうして分かる? アッサムがルイボスの生まれ変わりだと、何故分かる?」




シュガーはミルクを睨みつける。ミルクは怖気付く様子もなく、フェイスベールの下は微笑んだままだった。


なんか、二人の背後に白い虎と緑の龍が見えてきそうだ。何かは分からないが、なんだかそう思う。




ミルク「だから言ってるのですよ? この子達から聞いたって」



シュガー「他のやつらはどう説明する? 村長やリリナ、レオンはそいつらからは聞けないだろう?」



ミルク「あら、貴女って意外と頭が残念なのですね。そのメンバー、共通点があるのですよ?」




シュガーはバカにされたことに顔を歪ませる。だが、何かに気がついたらしく、見開かれた瑠璃色の瞳が輝いた。




シュガー「……全員、除外された者だ! つまり、除外された者にだけ入力されている情報。…それを何故そいつらが知っている?」



ミルク「もー! 貴女は「何故?」が多いのですよ!? この子達は隣の世界に住んでいるのです。こちらの世界のことは何でも知っているのですよ」




ミルクは僕の手の上で寝ているキューちゃんに顔を向ける。




ミルク「…それに、この子達は噂好きなのですよ……どんなコトも、一瞬で広まるのです」




そう呟くように言ったミルクの表情は、どこか悲しそうに見える。




アッサム「なにか……あったの?」



ミルク「人間と同じくらい、この子達にも色々あるのですよ……」




ミルクはギュッと自分の左腕を掴んだ。そこにある何かを隠すように。強く、握った。


ふぅ。と息を吐き、「それより」とミルクは話を変える。




ミルク「里のこと、知りたくないのですか? 狂信者となった、里の人のことを」



コジー「きょう…しんしゃ?」




復唱したコジーに目線だけを向け、コクリと頷く。




ミルク「元々、この里では月の女神様が信仰されているのですよ。かぐや姫の伝説があるのも、その流れじゃないのですかね?……この里の奥には洞窟があるのですよ。そこに住む魔物の放つ瘴気に当てられて、信仰者から狂信者となってしまったらしいのですよ」



コジー「…で? だから何だってんだよ」



ミルク「……忠告を受けなかったのですか? レオンから。かぐや姫の名前を出すなって…そういうこと、なのですよ」




ミルクは里の方に目を向けた。逆光で表情はよく見えない。




ミルク「愛されることを望んだ姫様は、歪んだ愛を手に入れたのですよ」

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