22話 : 頑張れ、アッサム。
リリナ「はい、これ。頼まれていた分だよ! それと……アッサム。余計なお世話かもしれないけど…これ」
リリナは僕らが頼んだ分とは別に、木属性の短剣を差し出した。
シュガー「いいんじゃないか? それくらいなら行動に問題はないだろう。もらってやれ」
コジー「いくら犬っころでも女だからな。女からの貰い物は快く受け取るもんだぜ、男ならな!」
2人の言葉にリリナは尻尾を振ったが、ワンテンポ遅れてその言葉に反応した。
リリナ「リリナは犬っころじゃないのっ!!!」
凄く平和な、そんな時間が過ぎた。
少ししてシュガーは全ての鎧を、コジーは剣と盾を、僕は短刀とアイテムを装備した。
コジー「よし、じゃあ行くか!」
コジーの言葉に僕らは再び森の奥へと足を運んだ。
しばらく歩くと、あの突き当たりに出て来た。少しひらけたそこにはやつがいた。
やつは僕らを見ると重たそうな体をゆっくりと動かした。僕らの方に、ゆっくりと近づいて来る。僕らは武器を構えた。
シュガー「作戦通りに行くぞ!」
アッサム/コジー「うん!」「おう!」
僕の考えた作戦はこう。
まず、コジーがスキルで敵を引きつける。
コジー「ヘイト・ライジング!!!」
そしてコジーの盾をジャンプ台代わりに、僕が上に飛び上がり、アイテムを使う。
アッサム「えいっ!!」
リリナにキャタピラーの針で作ってもらった「毒の粉」だ。効果は麻痺、毒。
敵の行動が鈍ったところへシュガーの攻撃。
シュガー「サンダー・ブロウ…っ!」
魔物「ぐぉぉおおおおおお!?!!!?!」
魔物は消えてゆきながらその腕を僕に伸ばした。何かを訴えるようなその腕は、僕に届く前に消えてしまった。
コジー「おっし!!! 作戦勝ちだな、アッサム!」
アッサム「う、うん。良かったよ、作戦が上手くいってくれて……2人のおかげだね、ありがとう」
コジー「良いんだよ、そーゆーの。こんなに金が手に入るんだからよ」
コジーが向けた視線の先には、魔物が落としたドロップアイテムとティルの山があった。それと同時に、既にその山を漁っているシュガーの姿も目に映る。
コジー「あ、こら!! お前何抜け駆けしてんだよ!!」
シュガー「なぁ、アッサム。これ…」
シュガーが山の中から見つけ出したのは、先日も見たあの箱だった。箱の上に例のごとく文字が表示される。
アッサム「冷静の、色…」
僕らは急いで廃村へと戻った。
アッサム「おーい、青鬼くーん!! どこー?」
コジー「おーい、チビスケー。いいもん持ってきてやったぞー」
シュガー「お前が言うと周りが全て動物になるな」
青鬼は移動をしたらしく、村のどこにもいないようだった。
皆で手分けして探していると、いつの間にか2人を見失ってしまった。そんなに大きな村じゃないはずなのに。
リリナ「きっと、上にいるんじゃないかな?」
いつの間にか僕の後ろに立っていたリリナが話しかけてきた。見ると人差し指を立てて崖の上を指している。
その先を目で追うと、大きく開いた木の隙間から一軒の小屋が見える。僕は何かの衝動に駆られたように走り出した。リリナにお礼を忘れるくらい、僕は急いでそこへ向かった。
リリナ「頑張れ、アッサム。この先大変なことがたくさんあるだろうけど、アッサムなら大丈夫だよ。……だって、あの人が守ってくれてるから。…アッサムはアッサムのままの色で、皆を助けて…」
1人の犬の鼻は、伝説の英雄の匂いを捕らえていた。
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