16.5話 : 素材アイテムないんだもん‥‥。


リリナ「ひっさしぶりのお客さん〜♪ さてさて何がありますかな〜? ……って」




リリナはお店の中を見渡して愕然となった。だって、商品は殆どないに等しいんだもん。




リリナ「でも、しょうがないよね〜。ここ最近、冒険者さんが増えたっていっても、こんな廃村なんか誰も長居はしてくれないし……はぁ」




リリナたちのような武器や防具を作る職人は、基本、素材を冒険者に提供してもらう。それはリリナたちより冒険者の方が何十倍も強いし、死なないから。それに、リリナたちじゃ集められないから。


確かに、そこら辺の低級の魔物と戦えば、リリナたちでもドロップアイテムを手に入れられる。けど、素材アイテムとなるものは “冒険者” でないと意味がないのだ。何故かは分からないけど、リリナたちが採ってきたものではどうも上手くいかない。


だけど、通りすがりにアイテムを提供してくれる冒険者もいない。まして、こんな廃村に居ついてくれる冒険者もいない。だからリリナも武器を作れない。


……それに、獣人は中々冒険者の前には出られない。冒険者に勝てる獣人も少ないからだ。村人は獣人を奴隷として欲しがる。でも村人は獣人には勝てない。だから冒険者に依頼する。冒険者もまた、報酬が貰えるならと引き受ける。あの人たちだって、きっといつか……。


それでも、リリナはあの人たちに武器を売る。それが仕事だから。



「これと、これは雷で………土はこれだけ? ……木はアイテムが多いな~」



取りあえず、あの人たちの属性にあった防具、武器をかき集めた。かき集めたといっても大した量じゃない。それでも、あの人たちにはあの子を……青鬼くんを助けてもらいたいから。







今も、ほら。また泣いてる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る