17話 : 装備はこれで全部だよ。
リリナ「よいしょっと。えっとね、これが雷属性の剣で、こっちが土属性の鎧。それでこっちが木属性の鎧とアイテムだよ!」
リリナの持ってきた大きな箱にはたくさんの物が入っていた。
シュガー「剣が3本…しかも、その中の1本は短剣か」
コジー「俺のは鎧だけ? 盾とかはねぇの?」
リリナ「うん、ごめんなさい。素材がなくてね、作れないの。それに、土属性の人とは中々会えなくて……」
語尾に連れて声を小さくするリリナは、顔も耳も尻尾も下に向けていた。
コジー「あ、いや、その〜なんだ。お、俺も少し材料取ってくるからよ! そ、そんな顔すんな!」
シュガー「泣かしたな」
アッサム「ダメだよ、コジー。謝らなきゃ」
シンリン「あ〜あ、だよい」
コジー「え、お、俺のせい!? あ、その…すまん。そ、それより! これ買いたいんだけど、いくらになる?」
僕も一緒になってコジーをからかう。実際、泣いてなどいなかったリリナは、コジーからの問いかけに「えっとね〜」と笑顔で顔を上げる。
リリナ「その鎧は2.500ティルだよ! この雷属性の剣が1本2.300ティルで、短剣は1.900ティル! 木属性の鎧は2.000ティルで、アイテムが500〜800ティルかな?」
コジー「さっきの戦闘で10.000ティルは手に入ったし、前回の犬っころの戦闘で手に入れた25.000ティルも残ってるし買うよな」
シュガー「ドロップする金が多くないか? ……まぁ、多くて困ることはないが」
アッサム「僕も買おうかな。アイテムって使ったことないから説明が欲しいんだけど……」
リリナ「おっけ〜〜! まずは、これ!」
僕のお願いに即答したリリナは、箱の中に入っていたアイテムの1つを取り出した。
リリナ「これはね、チャームリングっていってね、これを指にはめればあら不思議! 木属性の力が10アップ! ただ、レベルは5までしか使えないよ! これが500ティル!」
シンリン「さっき、アッサムは森の声を聞いたかい? どれくらいの程度かは分からないけど、これをつければさっきよりは確実にハッキリ聞こえるよい」
シンリンが横から補足をしてくれる。
確かに、さっき森が何かを言ってる気がしたけど…。
リリナ「そうそう! それとね、これも! これは草笛でね、あ、でもただの草笛じゃないんだよ! これを吹くと草結びが発動するの! スキルもあるんだけど、これだったらリキャストタイムもないし、簡単でしょ!」
コジー「草結びって、あれだよな? 草むらで引っかかれば転けるかもってやつだよな? ……な、なんか微妙だな」
アッサム「でも、狩りではよく使ってたよ? 山奥に入ったりするから、道しるべとして草結びをしておくんだ。そこに偶に獲物が引っかかってくれることもあるけど、基本、僕らはワイヤートラップを使ってたかな」
シュガー「草結びだって有効なんだ、分かったか」
コジー「何で俺にはそんな攻撃的なんだよ! ったく、分かった分かった」
今回はやけにコジーがイジられる。僕も一緒になって楽しんでいるけど…。
そんな僕のことをシンリンは難しい顔をして見ていた。
シンリン「なら、アッサムはこれから辛い思いをするかもしれないよい……。それより! 買うもの買ったら自分の家へ案内するよい! あんまり大きくはないけど、文句は言わないでほしいよい」
辺りを見渡すと陽も落ち、空が赤から紺へと色で遊んでいた。もうすぐ、深い闇に染まっていく。
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