16話 : 装備屋のリリナだよ!
アッサム「そう……だったんだ」
全てを話してくれた青鬼くんは、その優しい目に溜まっている涙を拭った。
青鬼「……だから、お前たちもどこかへ行ってくれないか。ここから離れてくれ」
コジー「まぁ、取り敢えず廃村に行こうぜ。そこの鬼も、俺たちがここから離れるのを望んでるわけだしよ」
シンリン「廃村はこっちだよい。着いてくるよい」
僕らは泣いている青鬼をそのままに、廃村へと向かった。
祠から少し歩くと開けた場所に出た。少し荒いが道になっている。シンリンの後を追い、その道を進んだ。途中、魔物が現れることなく廃村へとたどり着いた。
アッサム「……ここが、アメジストの村…?」
そこが廃村と呼ばれている意味を、僕はようやく知った。
……人がいないだけじゃない、何かが暴れた跡がある。…家も畑も……。
僕らが息を呑みながら足を進めていくと、どこからか陽気な歌声が聞こえてきた。
??「ここは廃村アメジスト〜♪ 平和を望んだ村人は〜♪ 平和でいたいと鬼を斬る〜♪ 怒った青鬼やってきて〜♪ 村人全員殺っちゃった〜♪ 平和を望んだ青鬼も〜♪ 今では赤に染まってる〜♪ ……あなたは何に染まってく〜?」
どこからか聞こえていた歌声は、いつしか目の前へと移動していた。
そこにいるのは1人の犬。
アッサム「き、君は…?」
リリナ「私はリリナ! リリナはね〜、道具屋をやってるよ! そしてお歌が大好きなの! あなた達は旅人さん?」
僕たちへの問いかけと同時に首をかしげるリリナ。一緒に動く垂れた耳に目を奪われる。
シンリン「この人たちは冒険者さんだよい。リリナの所で防具とか一式揃えたいんだってよい」
リリナ「わぁ〜〜、ほんと?? リリナは嬉しい!! えっとね、まずは属性を教えて欲しいな!」
リリナはピョンピョンと飛び跳ね、嬉しさを表現している。それと同時に垂れた耳が上下に動く。
アッサム「……なっ!? え??」
シンリン「あ、そこのおチビさんは木属性だよい。…って、今更だけど、名前を聞いてないよい」
アッサム「あぁ、えっと、僕はアッサム。改めてよろしく……じゃなくて! 何で獣の耳と尻尾がついてるの!?」
コジー「アッサムは獣人を知らないのか? まぁ、俺も会うのは初めてだけどよ」
アッサム「獣人…?」
コジーから出てきた初めての単語を復唱する。
シュガー「この世界では色々な種族がいるのだが、その一つがこの獣人だ」
リリナ「うんうん。他にもエルフや妖精なんかもいるよ! ……ただ、その中でも獣人は特別なの! リリナは犬の獣人なんだけど、鼻とか耳が良いんだよ〜! あ、あと力もあるよ!」
リリナはそう言いながら、あまりない力こぶを作ってみせた。
シンリン「まぁ、獣人の優れているところは種類によって違うんだよい。それより、そこのお二人の属性もリリナに教えてやってほしいよい」
シュガー「私の属性は雷だ」
コジー「俺は土属性だぜ!」
リリナ「木に、雷に、土ね。ちょっとだけ待っててね!」
そう言うと、リリナはある家屋の中に入っていった。家屋の入り口には “装備屋” と書かれた看板が立っている。
アッサム「……ねぇ、もう一つ聞いても良い? 属性って何??」
シンリン「あぁ、そうだったよい。えっと、もう魔物とは闘ったかい?」
アッサム「う、うん。2回だけ……でも、僕は何もしてないよ」
シンリン「もう2回も戦ってるなら十分だよい。その中でそこのお二人が技を使わなかったかい?」
シンリンさんの問いかけに、僕は2回の戦闘を思い出した。
そういえば……2回目の戦闘のとき、2人が何か叫んでたよね…あれのこと?
アッサム「…あのヘイト・なんとか…とか、サンダー・なんとか…とか叫んでたやつ?」
シンリン「たぶん、それだよい。使える技にも得意不得意があって、それが属性で決まるって考えてほしいよい。例えばアッサムだったら、属性は木だから草結びや木の声なんかが得意となってくるよい。だけど逆に炎属性の技なんかは不得意というか、覚えられないんだよい」
シュガー「属性には相性というものがあってな。要するに私とコジーみたいなものだ。相容れないものもあれば、私とアッサムのように相入れるものもあるということだ」
コジー「ちょっと待てよ! 何で俺だけ相容れないんだよ! そーゆー仲間外れは、おじさん良くないと」
リリナ「あったよ〜〜!!」
コジーの話している途中で、リリナが家屋の中から現れた。
コジー「……お、俺のセリフ、最後まで言わせて……っ!」
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【アッサム ー村人ー】13歳(♂)
【シュガー ー冒険者ー】27歳(♀)
【コジー ー守護者ー】30歳(♂)
【シンリン ー木こりー】26歳(♂)
【青鬼 ー想像上の存在ー】10歳くらい(♂)
【赤鬼 ー青鬼の友達ー】10歳くらい(♂)
【リリナ ー装備屋ー】10歳くらい(♀)
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