14話 : 赤い青鬼。


シュガー「鬼か……赤ずきんのように、リアルにもとの話があるものとすれば…泣いた赤鬼か?」



コジー「赤いし、そうなんじゃないか?」




2人も祠の方へとやって来た。リアル…とは、何だろうか?




鬼「赤、鬼…? あぁ、そうか、今の僕は赤かったんだ」



アッサム「えっ…どういうこと?」



青鬼「僕は……青鬼だよ。赤鬼は僕の友達だったやつさ」



コジー「……ん? じゃ、何でお前の身体は赤いんだよ」



青鬼「それは……」




青鬼は自分の両手を見た。その様子はどこかおかしく、怯えているようだ。




青鬼「我を、忘れるほど……怒りを覚えたんだ。人間に、恨みを持ったんだ…そうだ、そうだお前たち人間に思い知らせてやるんだ!! 鬼を…僕らの強さを!! そうすれば、誰も、僕らを傷つけようとしないよね?」



アッサム「……青鬼くん。僕は母さんを助けるために旅をしてるんだ。…ううん、それだけじゃない。魔王になってしまった母さんを、そのことで苦しんでいる親父を、魔物に怯えて暮らす皆を、何かを失って悲しんでいる君たちを助けるために」



青鬼「だから何だよ!! 来るな人間め!! お前らも、殺してやる……助ける? そんなこと出来るわけないじゃないか!」



アッサム「出来ないからしないんじゃないよ。やるから出来るんだ。……だから、僕に君を助けさせてくれないかな? もし、人間が嫌いっていうなら、僕、人間やめてもいいよ」



青鬼「人間を……やめる?」




青鬼くんの眼から、殺気が消えた。その呆れた顔は人間と変わらない。




アッサム「うん。だから、君のこと、教えてくれないかな?」




僕の差し出した手を、青鬼くんは取ってくれた。




シュガー「やるから出来る、か……」



コジー「?? どうかしたか?」



シュガー「いや、何でもない。それより、シンリンに聞きたいのだが。この辺りに道具屋や食料を売ってくれる店はないか?」




シュガーは先程の場所から動いていないシンリンに話しかけた。




シンリン「え、あ、えっと、食べ物売ってる店はないが、道具屋ならあるよい。食べ物も、自分の備蓄で良ければ分けてやるよい」



シュガー「そうか、すまないな。助かる。後で道具屋にも案内してほしい」



シンリン「そんなの良いよい。ただ、そいつは変わり者でよ、あの廃村に好んで住んでるよい。変なもの売られないよう気をつけるよい」




シンリンの声に、青は反応した。最初のように……いや、それ以上の殺気を孕んだ眼でシンリンのいる方を見ている。


それに気がついたコジーが言う。




コジー「……なぁ、モリリン。お前何したんだよ」



シンリン「いや、僕は別に……」



アッサム「青鬼くん、シンリンさんと何かあったの? シンリンさんは君を心配してるみたいだけど…」



青鬼「……僕は斧を持ったやつを憎んでる。人間は全員憎いけど、その中でも斧を持ったやつが一番憎い。……赤鬼くんを、殺したから」



アッサム「斧、か……そうだね、木こりは斧で木を刈るから。でも、シンリンさんは、今斧を持っていないよ?」



青鬼「……え?」




木に隠れていたシンリンは、少し体を覗かせる。その手に斧は握られていない。




シンリン「……じ、自分にも、君のことを教えてくれないかい? 自分も君の力になりたいんだよい」




青鬼はしばらく黙る。そして静かに話し始めてくれた。




青鬼「……僕の親も、友達も、みんな人間に殺されたんだ」







-*-*-*-


【アッサム ー村人ー】13歳(♂)


【シュガー ー冒険者ー】27歳(♀)


【コジー ー守護者ー】30歳(♂)


【シンリン ー木こりー】26歳(♂)


【青鬼 ー想像上の存在ー】10歳くらい(♂)


【赤鬼 ー青鬼の友達ー】10歳くらい(♂)

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