好きな相手

「出会いがない。今の相手が本当に運命の人かどうか分からない。なかなか結婚に踏み出せない人々から、こんな声が多数寄せられました。しかし心配ご無用。これを使えば、皆さんは確実に運命の相手と結ばれることとなります!」


 このうたい文句で一世を風靡したのは婚活メーターである。これは相手と自分との相性を数値化し、結婚するに値するか否かを判断する機械である。しかしあるところに、なかなか運命の相手を見つけることができない男がいた。


「婚活メーターのおかげで世の中の未婚者は肩身が狭くなったな・・・。」

「確かにそうだな。ほとんどが既婚者になってしまったもんな。」

「なぜ私に合う相手がいないのだ。」

「まだ相性30%超えた相手がいないんだって?それはもう機械の故障じゃないか?」

「いや、会社に問い合わせて代替機を使ってもダメだったんだ。」

「じゃあ純粋に運命の相手にまだ会ってないんだな。」

「全くいつになることやら・・・。」


 相性が100%を婚活メーターが表示したのはその三日後であった。それは鏡に映った自分を判定した時であったとか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る