極端な願い
お助け頂き、ありがとうございます。そのお礼と言っては何ですが、願い事を3つ叶えてさしあげましょう。
道端で拾った古いランプをこすると煙と共に魔人が現れ、このように言った。我ながらバカバカしい話ではあると思ったが、万が一にも本物であればと試しに願いを1つ言ってみることにした。
「明日も会社に行くのが面倒だ。だから俺が働かなくて良いようにしてくれ。」
かしこまりました。そう言い残し魔人は消えた。
次の日、普段通り朝起きて願いが叶っているかを確かめに会社に行った。いや正確には会社があった場所に行った。そこに会社は無かった。
「会社が無くなったのはお前の仕業か?」
ええ、あなた様が会社に行きたくないとおっしゃったので。会社を破壊しました。
これは面倒な魔人だな。確かに願いを叶えてくれはするが、叶え方が異常だ。ここは慎重に願いを伝えなくては。
「じゃあ次の願いとして俺を金持ちにしてくれ。ただし金の重みで家を潰されちゃ困るから、金以外で頼む。」
承知しました。そう言い残し魔人は消えた。
次の日、朝起きると何だか生臭かった。部屋を見渡すと大量のマグロが並んでいた。
こちら時価にして1000万円相当のマグロでございます。
いや、金より重たいだろう・・・。そう思ったが口には出さなかった。
「もう分かった。俺の最後の願いはこれだ。穏やかに暮らしたい。病気もせず、のんびりと暮らしてみたいもんだ。」
よろしいのですね。そう言われた次の瞬間、俺は気を失った。
「警部、こちらが被害者宅となります。」
「うむ・・・。何だか生臭いな。」
「マグロが散乱していたらしく・・・。」
「彼は何を考えていたんだか。マグロに囲まれてコールドスリープ状態になるとは。」
「とても穏やかな顔で寝ていましたね。」
ランプはそのまま警察に押収され、その後の行方は誰も知らない。だが警察内で突然コールドスリープ状態となる者が多発するという事件が起きたとか起きないとか。
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