印象
「我が社の今季の業務成績は、昨年度に比べまして5パーセント下落したと言えます。新たな政策、大幅な施設への投資をしましたが、あまり効果はありませんでした。今後は業務の縮小も視野に入れつつ、業績の回復に努めたいと考えております。」
ある会社で会議が開かれていた。会社の業務成績を報告している所だったのだが・・・。
「君、成績を良くするために、業務を縮小したら元も子もないのではないのかね?」
「ですからある程度の回復が見込めたら、以前と同様の規模に戻す考えでして・・・。」
「ほう、考えていると言ったが具体的なプランはあるのかね?」
「これから検討していきます。」
「もう良い。君、クビだ。部署の担当を変える。」
「そんな・・・。」
その頃、別の会議が開かれていた。
「では次に業務成績の報告をお願いします。」
「はい。我が社の今季の業務成績は結果としては、昨年度に比べまして5パーセント下落と言う厳しい状態になりました。これは今季から新たな政策を取り入れた不安定さや、施設への大幅な投資をしたことが招いたものであると言えます。しかし、政策がしっかりと根付き、施設の投資の元が取れるほどの利益が生まれれば、必ず成績は回復します。つきましては、一旦業務を縮小させ落ち着いたところで元の規模に戻し、さらなる業績の向上を目指したいと考えております。」
「うむ、ありがとう。」
それぞれの会議の後、情報交換がなされた。
「流石だな。同じ部署の説明なのに全く異なる印象を受ける。」
「しっかりとしたビジョンが見えるものな。」
「いやいや、こんなのはただの印象さ。始めに悪い条件を持ってきて、後から良いこと尽くめにする。そうすることで結果的に良い感じを醸し出すのさ。」
「まるで我が社の販売方針そのものだな。」
「ああ。訪問販売を生業とするウチにぴったりだ。」
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