普通

男が登壇する。


「皆さん、良いですか。この世の中には様々な人が居て、多種多様な生き方があります。しかし、そんな中でも特に全うする難しいのは 普通 に生きることでしょう。普通と言うのは非常に難しいのです。」


男は続ける。


「まず何を普通の基準にするのか。これは恐らく人間全体の生活の平均を基準とするでしょう。」


一呼吸置く。


「普通に生きるとは、平凡な学校生活を送り、キチンと働き、家庭を持ち、何事もなく死んでいく。これが普通だと思います。」


演説に熱が入り始める。


「よく、普通はつまらない、特殊が良いなどと言った意見を聞きますがそれは一概に正しいとは言えません。そもそも人生は一回きり。何が正解などありません。」


締めに入る。


「これからでも十分間に合います。皆さんも幸せな 普通 の生活を手に入れましょう。」



そう、ここは刑務所である。

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